ダンジョン攻略④
さあ、ていう事でランチタイムです。エネルギー不足で俺が動けないという事で、時間はわからないけどそういう事。
場所は変わらず階層主の部屋。まあ復活はしないだろう。
食べる物は朝リリカを世話してから出かけるまでの間に、シーニャが作ってくれていた。マジで有能すぎんだろ。痒いところに手が届きまくる。
「じゃあ用意しますね!」
といって、カバンの中からクッションとピクニックシート代りの布を取り出して広げる。
続けて紙に包まれたサンドウィッチを人数分取り出す。いやわかるよ?この世界にサンドウィッチ伯爵いたのかよとかツッコミを入れたくなる気持ち。でもしょうがないじゃん。あるんだから。いやそれは良いとして。
肉と野菜とかが挟まれたそれは、前世でお洒落な店で売っていたとしても遜色無いように見える。行ったこと無いからわからないけどね。
「「「いただきます」」」
こういう時収納できるカバンは便利だよな。ステラのカバンは変なのばっかだし、リリカのは小さい。俺のは実用的な物が詰まっているし、今のところはシーニャのに入れてもらうしかない。
美味しい!とかそんな感想が聞こえてくる。まるで女子校みたいですね。さっきまでの戦いの雰囲気とは全然違う。
「ってこらーーー!!」
「「「あ」」」
全員完全に忘れてたよね俺のこと。うつ伏せに倒れたままのこの俺の可哀想な状態見てよこれ。
「ごめんなさい!ついうっかり!」
「いや俺このままダンジョンの素材になるかと思ったよ?」
土だしね。破壊してしまったところは自分が素材になって埋め合わせしますってか?
「でもチヒロくん、動けないんだったらどうやって食べるのかい?」
「あー……」
雑に仰向けに転がされたは良いけど、どうしましょうか。
「さっきの入り口のとこのヒーリングポイントに持っていけばいいんじゃないの?シーニャくらいの力なら持ってけるでしょ」
リスみたいになってたリリカは、口の中の物を飲み込んで言う。
「よし、シーニャ、お願い出来る?」
「はい!もちろん!」
そう言って俺の近くまで来る。
「あ」
「どうした?」
「いくら出せます?」
「シーニャさん?」
とまあテンプレのやり取りをして、運搬をしてもらった。別に来る必要も無かったけど、他の2人もせっかくなのでテクテクと同行。
ギイと扉を開け、光る箇所にドサっと置かれる。俺は荷物か?
「おお、治った治った」
光に包まれて俺はまた動けるようになる。こういう原因の魔力不足にも効くんだな。
「チヒロ君の技は頻繁に使えないのばかりだな」
「ほんとだよ。もっと改良出来ないのか?」
とか言いつつ扉を再度開ける。
「「「「え?」」」」
そこには先ほど倒したはずのスライムライダーが、ぽよんぽよんと鎮座していた。
***
「奴が記憶無くしてて良かったな……」
「ほんとですね……」
復活のスライムライダーは、俺の名称未定ビームでまたあっさり沈んでくれた。まあ記憶毎回残っていたら、何回も殺されてる記憶もあるんだろうし魔物も精神が保たないだろう。
それでまた俺はシーニャに銅貨3枚を渡して運んでもらっている訳だ。金の事は気にするな。
「あんた代償無い小回り効く技無いの?」
横のリリカが聞く。またハイシールドを使った為、念の為に魔力回復をしたいからとの事で付いてきた。
桃美は魔力が高いという話を聞いていたけど、魔法の威力と魔力量はまた別という。「あたしハーフなの。別に良いでしょ、そんな話」と話していた。まあ関係無いか。
「今のところ無いなー」
片膝を付き、立ち上がりながら言う。
「レベル的にも中級魔法くらい使えるんじゃない?」
「それだったらリリカに任せれば良いし、俺剣士だし」
「それもそうね」
また扉を開ける。部屋のど真ん中には、スライムライダー……では無くステラが座ってお茶を飲んでいる。
「それで?鉄はどこで手に入るんだ?」
「一応スライムライダーからもドロップするらしいぞ。確定では無いみたいだが」
隣に座ってシーニャからサンドウィッチを受け取る。
それにしても確率ドロップか……マジでソシャゲの世界観じゃん。周回ゲーとか俺もやってたけどさ、やっぱストレス溜まらない訳じゃないんだよな。
「他に落ちるのはこの先だと近くだと何階?」
「15階〜20階の様だ。もっとも、確率は20階の方が高いがね」
「っはぁ……そこまで行って周回か……まあ何回もやるしかないか」
「あのー、それでですね皆さん」
おずおずと小さく手を挙げるシーニャ。
「どしたの?」
「私のカバンなんですけど」
素材は大体シーニャの収納鞄に入れていた。俺とステラのにも少しずつは入れていたけども。
「もういっぱいなんです……」
「えっ」
「なのでここで一旦帰るしかないみたいです」
「……いらない素材捨てるって手は?」
「そんなの勿体無いじゃないですか!!」
ですよねー。
「実際ダンジョンに行く人は2つ3つは収納鞄を持っていくのが常識らしいぞ」
「なんでその事早く言わないんですか」
「ま、他の人も少し行って素材を手に入れ、お金を稼いでまた少し行っての繰り返しで鞄を買うみたいだからな」
let's周回!と右腕を突き上げる。なんだよそのテンション。
「お金だったらあたしが出そっか?」
「遠慮しておきます」
お前金持ちすぎててなんか怖えんだよ。
「あれ、でもそうするとまた全員倒して下に進むよな」
「ですね」
「鞄いっぱいになるじゃん」
「ですです」
「……下行けなくね?」
「鞄を買いましょう!」
はい、直近の目標が更新されました。
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