学園では底辺ですけど、じつは世界を救ったスーパーヒーローです。

MrR

プロローグ:地球を懸けた決戦・・・・・・の、その後

 突如として地球に現れた悪の帝国「リベリアス」。


 地球の軍隊では歯が立たず、核兵器すら無力化され、絶望が世界を満たしていた。


 そんな時に立ち上がったヒーロー。


 名をキングスセイバー。


 強大な敵を次々と薙ぎ倒し、この世界を救って見せた。


 その正体は日本の学生である輝木 ミライ。


「自分では無理だよ」、「僕にはできない」、「どうして僕なんかが」などと弱音を吐きながらも世界を救ってみせた少年はと言うと・・・・・・



 Side 輝木 ミライ


「あんたなんか好きになるわけないでしょばーか!」


 放課後の学校裏に呼び出されて何かと思えば――クラスメイト達にゲラゲラと笑い物にされる始末。


 スマホでしっかり撮影までしていた。


 なにがそんなにおかしいのだろうと思ってガッカリしたが、まあそんなもんだよなと思ってトボトボと帰って行った。


 輝木 ミライ。

 高校生にしては小柄な体格。

 黒髪の地味な男の子――これでも髪型は以前までボサボサだった。


(しかし朝比奈さんがあんな事するなんて・・・・・・)


 朝比奈 リサ。

 黒く長い髪の毛の明るくて可愛らしい女の子。

 恋心までは抱かなかったがこんなことするとはショックだった。

 

(分かっていたけど、世界を救っても変わらないな僕の人生――)


 などと思いながらも帰路につこうとすると。

 

「よぉ、ミライ。また痛い目みたいか?」

  

 するとゴリラのような学生が通せんぼした。

 後ろには細っチョの学生がいる。


「剛田に新島・・・・・・」


「呼び捨てとは偉くなったね~剛田さん、ここは少し痛い目を見せた方がいいですよ」


「そうだな新島」


 ゴリラのような剛田にカマキリのような細ッチョの新島。

 いわゆる不良コンビ。

 

 昔は恐かったが最近あまり恐くはなくなった。

 殴られるだろうがそれよりも嘘告白のショックの方が大きい。


 自分に渇を入れるためにも殴られておこうかなどとミライは考えた。


「最近お前調子乗ってるもんな。出る杭は打たれるって言葉は知ってるか?」


「・・・・・・そんな調子でずっと生きてくつもり?」


 ずっと前から思ってはいるが理論が破綻している。

 なんか殴られるのも馬鹿らしく感じた。 


「ああ? 口答えするのか?」


「じゃあね」


「チッ・・・・・・待てよ!!」

 

 肩を掴まれた。

 だがミライはそれを振り解き、剛田を思わず突き飛ばしてしまう。


(やばっ――)


 と思ってしまい、慌てて逃げてしまった。


「待てよ!! テメェふざけんな!! 逃げんなコラァ!!」


 日本の学生社会は崩壊しているな~などと思いながら逃げていった。



 学校から少しばかり離れた場所。


 そこで髪の毛も肌も服も白い、手に杖を持っている。

 まるで童話に出て来る魔法使いのようなお兄さんに出会った。


 名をマジェス。


 ミライに付き纏う謎の人物だ。


 何時も唐突に現れて唐突に消え去る。


 正体不明の人物だ。


 もう突然の出現に慣れたのでミライは普通に受け答えする。


「いや~世界を救っても君の回りは何にも変わらないね。助けてあげたのにあの扱いはないよね」


「仕方ないよ――僕が世界を救ったヒーローだなんて知らないし、影ではあのコスチュームダサいとか言われるし散々だよ」


「ははははは! 業が深いね、この世界の住民は」


「それで何の用? 様子を見に来ただけじゃないんでしょ?」


 マジェスは真剣な表情で語る。


「君は世界を救ったとか世間は言うけど、君が倒したのは言わば先遣隊だよ。それに世界中の人間は再びの襲来に備えている――そして君を探している」


「・・・・・・お約束のパターンだね」


「いやはや、まいったまいった。まあ気をつけたまえ。世界中が君を探しているよ」


「うん」 


「じゃあ今回はここでお暇させてもらうよ」


「さようなら」


 マジェスは手を振って笑顔で立ち去った。

 ミライも手を振って微笑で返す。

 

(僕もなれるかな、テレビに出て来るような本当のスーパーヒーローに)


 などと思いながらミライは帰宅した。

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