変身

君はこんなにも

熱くなれるんだね


恥ずかしそうに

そっと

重ねるだけの口づけ

から始まったのに


僕をどうするつもり?


そんなにキツくされたら

離れられなくなりそうだ


糊のきいた真っ白なシーツに

君の赤いルージュが残る


汗ばんで

シワくちゃに乱れて


果てることを知らないみたいに

幾度も睦みあって


二人で高みへと昇る


「愛してる…」

「…愛してる…」


この瞬間が永遠に続けばいいと願いながら

その頂きを捉え深く息をつく




君はこんなにも

冷静になれるんだね


シャワーを浴び

メイクを直し


まるでなにもなかったように

「行きましょう」

と言う


乱れたベッドがなければ

まるで他人



この空間は

君を熱く冷たく

変身させる


そしてそれは

僕しか知らないことで

そのことが僕に

力をくれる


あなたの熱と冷を見ることができるのは

あなたと睦みあえる僕だけ


その特権みたいなものが

僕のなんでもない日常に

力をくれる





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