誰でもない自分はそこにいる

幕張餃子@沖縄

第1話 プロローグ

珈琲の苦味は、人生に似ている。

恋愛や仕事、人生は苦いことが多い。

大人になり、珈琲の美味しさが徐々にわかってくるところも、

人生と似ているかもしれない。


いつもより少しだけ早起きをした朝。

儀式のように手慣れた動作で、ドリッパーに熱湯を回すようにそそぐ。

淹れたての珈琲をブラックで飲む。

酸味の少ないブレンド豆は、砂糖やミルクを入れない方が、自分の好みに合う。


眼を閉じる。

視覚情報をシャットアウトすると、珈琲の香りが際立つ。

その香りが、今までの人生を思い出させる。

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