妄想伝記

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第一話.テロリスト襲撃

4時間目は国語の授業だった。

先生の優しく落ち着いた声。

プールの塩素とシーブリーズと汗が混ざった香り。

心地良い風。

はためくカーテンから漏れた陽の光。

ほとんどの生徒は机に突っ伏して

眠ってしまっていた。

起きているのは10人くらい。いや9人だ。

黒板に書かれたテストの範囲を

ノートに書き写した。

僕はシャーペンと消しゴムを筆箱に直した。


後ろの席の転校生が

窓の外をじーっと見ていることに

ふと気が付いて、僕も窓の外に目を向けた。



正門から4台の大型車両が入ってきた。

「ナンバープレートが無い。」

そう小さく呟いた彼女は急に立ち上がって、

大きなバッグを背負って

窓から飛び降りてしまった。

驚く間もなく、

教室に2人組の男が入ってきて

大きな銃声が鳴り、

何もかもが突然で、

真っ白になってしまった僕の頭を

生温い血飛沫が赤く染めた。

僕は意識を失った。





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