チンチン殺人事件

ヒキエマさん

第1話真夜中に舞い降りしチンチンへの挽歌

チンチンと

チンチンと

チンチンと音が鳴る――

虚しく空に宇宙に吸われていく

音は――高い音を立てて――



「被害者は男性で中年です。早朝の線路の脇に裸で放置されていたところを散歩していた女性が発見」

「検死の結果切断されいた下半身の一部が丸焦げで」

「発見の前夜には普段ではありえない甲高い鐘の音が響いていたと」

「まあ殺人事件ですなあ」

 断片的に夜の会議を思い出す。なにせ寝不足で聞き流して頭の片隅に情報の欠片が散乱していた。

 クソみたいな飯を食べた後はぼんやりとしていた。数百円のパンに百円のコーヒー。モチベーションが上がらない。なぜパンはカロリー高いのだろうか。特に意味のない無想と今後の方針だ。とりあえず人海戦術の聞き込み役でなんかありました?記憶あるという判子な定型文を読み上げる作業が始まると思うとうんざりしていた。

 憂鬱なのはわりと初動が遅れて第一のゴミのマスコミが騒いでるからだ。そして第二のゴミのネット上でもあることないことないことないことないことが書かれている。

 ゴミとゴミのコラボレーションで飯も良いのは残っていなかったし気分は最低だった。事件は毎日起きるがここまで騒がれる地元の事件は初めてだった。応援などで大事件にかかわることもあるが他人事のように考えていた。当事者になるとカスを煮詰めたようなものを食わされる気分だ。しょうもねえ聞き耳ババアや切れ散らかすジジイという住人ガチャの外れにも昼に当たったし。

 転職サイトでも見るかなと思って携帯電話の時間を見ると休み時間が無情にも終わりの時間を示していた。


 

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