なまくら冷衛の剣難録

小柄宗

登場人物と用語について(確認用です)

主要人物紹介

◆本作に登場する主要人物


冷衛ひえい

「俺は、小竜さんに信じてもらえた。誰もが嘲っていた、この俺のことを。……それだけで随分と救われたんだ」


 折れた刀を所有する市井の剣士。流派は〈思暗冥心しあんめいしん流〉。


 かつては公国内で令名を誇った剣士だが、私闘の末に刀を折られた不名誉のために武官を退職した過去を持つ。


 事件のせいで〈なまくら冷衛〉という異名をつけられ、剣士からは侮蔑の視線を浴びて生活することとなった。

 現在は、安い手間賃でしょうもない仕事をして糊口をしのいでいる。


 愛刀は〈静隠士しじまいんし〉。

うつ〉の能力は、三秒間だけ視覚を飛躍的に高めて外界の動きを超微速で知覚する〈静視しじまみ〉。



紫光しびかり小竜こたつ

「幼馴染、だったんです」


 冷衛の依頼者である十代後半の女性。


 幼馴染を何者かに殺害され、その仇討ちを誓って冷衛を頼った。幼馴染からもらった鉄砲の腕前は如何に?


 闊達で明るい性格だが、幼馴染を失ってからは表情に陰を落としている。



炎衣ほのい士郎次しろうじ

「冷衛。俺はな、お前が退官したことで、空位の現役最強の座に納まったと揶揄されてきたのだ。その侮蔑に耐えて修練を積んだ俺が、負けてたまるか!」


 御馬前衆ごばぜんしゅう第三番隊隊長であり、いつも冷衛に一歩後れをとっていた犬猿の仲である剣士。流派は〈月命げつみょうまほろば流〉。


 外見は眉目秀麗で、その内面は教養と剛毅さを併せ持つ男。その色男ぶりで女性の目を引くが、小竜には通用しない模様。


 精鋭の部隊を率い、小竜の幼馴染が殺害された事件の調査をしている。



由比太ゆいた

「三回くらい殺すつもりで攻めたんだけど、生きているとはたいしたものだよ」


 数年前まで冷衛をも凌ぐ力量を有した天才剣士。人呼んで〈神童〉由比太。流派は〈風々ふうふ殲滅せんめつ流〉。


 肺を病んでからは表舞台から姿を消し、療養生活を過ごす。飄々とした性格で冷衛の唯一の親友。


 冷衛の頼みなら暇つぶしのために応じてあげる。



光椿みつつばき

これなどなくても強くなれますよ」


 冷衛の剣の師である女性。老境に入り、今は道場を冷衛に任せている。



春日かすが爾庵じあん誠之助せいのすけ

「騙したというほどでもない。ただ、目の前に餌をちらつかせたら懸命に働いてくれただけのことだ。親子ともどもな」


 元内務省次官で、内務大臣の懐刀であった壮年の男性。退官後は人材派遣業と称して多くの戦力を抱えている。


 数年前の公国内の派閥争いにて内務大臣の手先として暗躍した。



美夜みや

「構いませんわ。私は閣下のために働けて幸せですもの」


 爾庵の侍女。身寄りの無いところを爾庵に拾われたため、彼には絶対の信頼を置いている。



○シンベヱ

「減らず口を叩くなよ。ま、あの二人を目の前で殺されても、その平静を保てるか楽しみにしている」


 爾庵に雇われている剣客。〈斬侠ざんきょう〉シンベヱ。片手剣と革製の籠手を使用した剣術の達人。



望童子ぼうどうじ

「なーんちゃって。どっち道、生かしては返さないのでした」


 爾庵に雇われている剣客。元は山賊をしていたところシンベヱに見出されて行動をともにする。童顔の美男。



雨天うてん

「うっせー! 命令だったから俺は本気出してないんだ! そこのテメー、次に会ったらぶっ殺し決定だからな。覚えてやがれ!」


 爾庵に雇われている女性暗殺者。〈寝首掻ねくびかき〉の雨天。〈白亜の墓標〉という暗殺組織から一隊を率いて爾庵の元に出向している。



真人まさと

「いいだろう。最後に聞くが、人違いじゃないのだな」


 小竜の幼馴染。熱血漢で誠実な人物だったようだが、何者かによって殺害される。



沙岩さがん

「いやしかし、冷衛さんにつまらん仕事をさせたら、右に出る者はおりませんのでな」


 冷衛が通う口入くちいれ屋。口入れ屋とは、依頼人とその依頼を請ける人を仲介する商売人。彼の娘は冷衛のことが好きという作中で触れられない設定がある。

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