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side. Subaru






2年越しの初恋が実り、


俺は最愛の人、

篠宮 円サンと結ばれる事が出来た。



最初は俺の独りよがり…

これは片想いなんだと、半ば諦めてた恋だったけど。





互いに好きだと口にする事が出来ず、

順序を違え、先に身体を重ねてしまったりもしたけど…。



貴方からもはっきり『好き』なんだと…

心も全部、通じ合えて。


こうして傍にいられるのだから、

もう後悔なんてしていない。







晃亮が意外にもあっさりと、遥サンの元へ行き。

俺と円サンは、このマンションで二人暮らしを始めて。



所謂“同棲”と言うもので…。


俺は高校生────…と言っても、

大して学生らしいことはしてないが…


円サンはちゃんとした短大生で、バイトもまた再開したから。四六時中一緒にいるなんて事は、叶わないけど。




それでも朝早く目覚めたら、

貴方の可愛い寝顔を眺め…おはようのキスをして。


学校から帰ったら、

貴方の好きな夕食を作って、おかえりのキスをする。



ふたりテーブルを挟んで、たわいのない会話の後、

恥じらう貴方を誘って一緒にお風呂に入ったり、

貴方の全てを俺の手で清めてあげたり…。





ベッドの上では少し甘えて抱き合って、


週末なら…欲張りに、

肌を合わせひとつになってそのまま眠りに就き、



また朝が来る。






初めて味わう、甘いひととき。


まだ1ヶ月も経たないし、

未だに慣れない部分もあるけれど…



叶うならば、ずっとこうしていたい。

そう、心から願うんだ…。










俺は貴方の為なら、何だってする。

絶対だと、誓える。




元々俺は、器用な方だと自覚してたから。


料理でもなんでも、

貴方に尽くせるならばどんな事でも。


楽しくて仕方なかった。






俺が作った物を美味しいと言って笑ってくれる。


そんな貴方が見たくて、

全ての家事を買って出たんだが……



円サン的には、お互い協力して。

半分ずつ…と言う考えらしく。


色々と申し出ては、くれたんだけど…






なんて言えば、いいだろうか?

結論から述べると円サンは……不器用な人、だった。


それもたぶん、かなりの度合いで…。





俺個人としては、

そんな驚く事でもなかったんだけど。


何故なら、晃亮がまさにその類だったから。





晃亮の場合は不器用と言うよりかは、

欲が無い分、何もしようとしないし…故に何も出来ない。その為、俺が必然的に全てやってたから…




おかげで円サンと暮らし始めた今じゃ、趣味とも言えるくらいハマり出して。

意外と自分は、世話好きだったのかな…とか。




でも円サンは不器用な自分を、かなり気にしているらしく…失敗する度、どんどん落ち込んでしまって。


俺が何を言って慰めようとしても、

結局は逆効果にしかならなかった。




それでもなんだかんだ、上手くやっていたと思う。

俺がそう思いたいだけかもしれないけど…。






夏休み入ってすぐ、

遥サンからバイトの話を持ち掛けられて。


親を疎ましく思いながらも、

脛をかじって生かされている事には…変わりなかったから。


少しでも早く自立したいと思って、

その申し出を受けることにした。






バイトを始める事を円サンに話したら、

理由を聞かれて。


『円サンと結婚したいから』と、本気で答えたら。


とても恥ずかしそうに、

真っ赤になってたのがあまりに可愛くって…



その後すぐ押し倒してしまったのは…

ここだけの話だ。






まだ同棲生活も始まったばかりで、

こんなにも満たされてく日々。


無駄な時間なんて無いと思えるほど、

貴方と共に生きていけると言う現実に、溺れそうで…



どうにかなってしまいそうです。






だからこの頃、

元気が無い貴方を見ると…不安で仕方ない。



貴方の為に善かれと思って尽くすことが、

重荷ではありませんか?


俺のこの抱え切れぬほどの想いが、

貴方を苦しめてはいませんか?




今まで誰かをこんな風に愛したことがないから、

どうしていいのか…解らない。


料理でも何でも、

他の事なら楽にこなせる自信があるのに…。




こればかりはどうしても、

不器用でしかないんです。

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