第6話 転生社畜のとある1日

 転生を果たして、早くも二年が過ぎた。


 戦闘スキルのない俺は、ギルド職員として拾われ、しかして多忙を極めていた。

 というのも、このギルドの内情が杜撰を過ぎていたからだ。


 内情がよくなれば給与も上がるし、人も雇えて時間も取れる。今は俺の異世界冒険譚のプロローグだ。

 チートも金銭も渡されずに若さだけで転生したのだから、序盤に苦労するのも仕方ない。

 その分、いつか成果として報われるのだと自分に言い聞かせながら、今日も出勤する。


 「書記」にはジョブスキル『時計』と『自動手記』があるので、ここに1日のスケジュールをつけて記しておく。



6:30

 職場近くの職員寮で起床。料理スキルで素早く弁当を作りながら朝食も済ませる。


7:10

 出勤、徒歩10分は助かる。


7:30

 素材解体倉庫にいき、在庫数と保存状態のチェック。解体師の腕はいいんだが、在庫管理がロクにできない奴だ。


8:00

  ギルド併設酒場の発注物が届き、確認とサイン。

 雇われの料理人はいるが、収支がギルドと同じサイフなので結局、俺が帳簿をつけている。


9:00

  他の職員が出勤してくるまでに昨日の受付嬢の提出書類の添削。間違いが多くて苛つく。

    

10:00

  受付嬢に仕事を割り振るが、言うことを聞いて貰えない。権限がなく舐められている。

 結局は自分でやる方が早いとなる。


11:00

 ギルマス重役出勤も、領主との会談があるとすぐにいなくなる。

 内務は君に任せるとだけ。

 それと来月の本部会議の資料作成の釘を刺される。いつ作れっていうのよ、頼りになる副ギルマスは母校の講演に出張中。

  

12:00

 仕方がないので、昼の休憩中に弁当を食べながらコツコツ資料作成。


13:00

 ギルド内で冒険者同士が揉みあいに。

 流石に冒険者資格の剥奪がされる抜刀はしないので、何とかレベルが上がった合気道スキルで仲裁に入る。

 ギルマス不在だと調子に乗ってすぐに暴れる奴がいてうんざりする。


14:00

 素材卸先の商人との打ち合わせ。こいつらはわざと数字を間違えてくるから要注意。

 本来時価の値付けはギルマス承認が必要だが、任せるとしか聞いていない。


16:00

 近くの村人からゴブリンの討伐依頼。

 金がなく、報酬をケチるために数を少なく見積もってるのがバレバレ。心苦しいが後で責任取らされるのは俺なので断る。


17:00

 素材買い取りのピーク時間帯を受付をフォローし、何とか乗り切る。定時に帰りだす受け付け嬢を尻目に帳簿のチェック。


17:30

  仕事を取ってきたと意気揚々とギルマス戻る。

 明日の正午までにCランク冒険者以上を20人手配だと。ふざけんなっ!!


20:30

  併設酒場が回らないので、ヘルプにキッチンに入る。落ち着くとちゃっちゃっと賄いを作って食べる。その後に発注。


23:00

 最終施設内設備確認、施錠、退社。


24:00

  一杯の酒と体を拭きながら、明日の確認事項の整理と資料づくり。明日は気の難しいドワーフ鍛冶師に鉱石を卸にいかなければならない、憂鬱だ。



2:00

 就寝。

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