第2話 社畜、自身が転生したことを受け入れる
霧が晴れると森の生態も、森から見下ろして見える街も、そして自分の体も自己の認識とは違うものになっていることに気づいた。
森には見たこともない植物が生い茂り、入った森とは別物だ。
遠くに見える街も高い城壁に囲まれた中世欧州のような街並だし、土まみれの背広をはたくと手が若返っていることに気づく。
慌ててスマホのカメラで顔を見れば10代後半の頃の顔になっていた。
「神隠しにあったってことか」
意識薄弱なまま、不穏な森に入り今も夢うつつのままなのか、はたまた死後の世界なのか。
体が若返っているということは別の世界に転移というより転生に近いのだろうかと思案にもならない思考の中、
「どうせ死ぬ気で森に入り、死にきれなかったんだ。深く考えずに街にでも行ってみるか」
若返ったとはいえ深夜森を彷徨ったのだ。
喉も乾き、恐怖で寝てもいないし足も体全身も痛いので取り敢えず街に入って休みたい。
幸い心だけは何処か解放されていて、普段なら全く信じないこんなオカルト現象に付き合う気分になっていた。
そこからはトントン拍子にことが運んだ。
門兵に身分証明がないといえば犯罪履歴がわかるらしい変な道具で確認され、入門が許可される。
と、身分証明を作りたければ何処かギルドに入れと告げられる。
ここまでくればここがゲームや小説にあるファンタジー中世世界観だと飲みこめてきた。
夢かどうかは次寝て起きて決めればいいし、夢なら夢でこの社畜から解放された世界を満喫してやろう。
まずは金策として通りの人に教えてもらった質屋に行き、背広と持っていた手帳とボールペンを買い取って貰い、金貨1枚と銀貨28枚となった。
それから冒険者が泊まるような宿をとり、一泊2食銀貨5枚を払いある程度生活の目処を立たせる。
次いで紹介されたギルドの中で俺は冒険者ギルドへとやってきていた。
「せっかく別世界にきたんだから自由業の冒険者だよな、転生するとチートスキル貰えるってテンプレあるし信じてみよう」
明らかな異世界ながら何故か言葉や文字が理解できるのはスキルの影響のようなので、他にも俺TUEEスキルは備わってると予想する。
中に入り受付にいくと綺麗な受付嬢が数名おり、手が空いてる受付嬢が一番綺麗だったこともあり、迷わず声をかけてみる。
「すみません、冒険者登録をお願いします」
若返ってることもあるので、素直な若者風で言ってみた。
また、ここには様々な土地からの異種族の方もいるようで、格好や出で立ちにはちょっと変だな程度にしか思われていないようだ。
「はい、ではこちらの用紙に必要事項の記入と登録料銀貨10枚お願いします」
丁寧に質の悪い紙と羽ペンを渡され、用紙を見ると名前(必須)、年齢(必須)、レベル(必須)ジョブ(必須)、各ステータス(任意)、スキル(任意)とある。
ステータス? と心の中で思うと自身の頭の中に文字が思い浮んだ。
名前 :タナカ シンジ
年齢 :18
レベル:1
ジョブ:書記レベル5
HP :190/220
MP :5/5
STR :1
DEF :2
AGI :3
INT :55
DEX :34
LUK :15
ジョブスキル
誤字添削 カルク 時計 翻訳 自動手記
スキル
料理Lv2 合気道Lv1
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