第二章

第十二話 変わるトーナメント戦

 俺は今、ジャック達と共に猛ダッシュをしてる。

 なんでかって、言われたらそりゃあ、入学式に遅刻しそうだからだァっ!


「もっと早く走れ!」

「ぬぁあっ!喧嘩とかするもんじゃねえなあ!!」

「スロウス様の勝利は決定されているものです、貴方が勝てるわけないでしょう!」

『そんな事言ってる場合じゃないでしょ!さっさと走るのよ!』


 初日、というか在籍前だから普通に落とされる可能性は大きい

 ガチで喧嘩とかしてる場合じゃなかった。

 華麗に決めてかっこよくなってる場合じゃなかった!まあ、気分は良かったんだけど。

 いやいや、そんな事思ってる場合じゃねえ!ガチで遅刻するっ!










 おっ!!校門が見えてきた!って、閉まりかけてるっ!?



「お前ら走れええええっ!!」

「うおおおっ!!」

「遅刻だけは阻止しなくちゃですね!!」

『じゃ、私は先に行ってるね』

「「ずるいぞ!」」


 皆がどんどん門の中に入っていき、最後に俺が入ると後ろでガチャンという音がする


「おー、お前ら間に合ったな。ほら、さっさと会場に行け、疲れてねえで」


 教員であろう方に言われると俺たちは指された方向へと歩いていった。





「なあ、入学…式だよな」

「俺はそう聞いてる」

「私もです」

『うんうん』


 今日入学式だと思ってきたであろう生徒達が集められた場所は闘技場。

 観客は先輩達。

 これが、ここの入学…式だと?

 よく見ると中で戦ってる人がいる。

 相手は…同じ制服を着ている。


「もしかして、皆これやるのか?」

「やるんじゃないか、俺達の名前がある」

「はあ?」

「そういえばですけど、奥様と旦那様がそう言った話をしていたような気もします」

『あ、私の名前はスロウスと一緒にあるのね』

「なんでだよ」

『分からないわよ』


 ってか、入学式のはずだろ、なんでこんな戦いをすることになってるんだ。うーんと、考え込んでいると。


田舎者イズフォルテ家じゃないか、なんでこの学校に来ているんだ?」


 その声は不意に闘技場待合室に響いた。

 そいつは取り巻きと一緒に俺に近づいてくる


「おいおい、田舎者の癖にハウランド様の話を無視してんじゃねーよ!」


「芋くせえぞ」


 イズフォルテ家ってそんなに田舎なのか?辺境伯の領地は田舎ではないはずなんだが。


「田舎者って俺の事を言ってるのか?」


 一応間違っているかもしれないから、聞いておこう。


「ああ?当たり前だろう??」


「そうだぞ!」


「まてまて、君たち、そんなに取り掛かっては田舎臭が移ってしまうぞ?」


 ハウランドってやつがそう言うと周りの奴らは黙って鼻をつまみ離れていった。


「ご主人様を侮辱するとはいい度胸をしていますね、家畜。いいでしょう、貴方達の度胸に免じて魚の餌にしてあげます。」


 ラティスが鞭を出してそう言うと

 場に沈黙が出来る。


「あっ…こら、やめろラティスそんな汚い事を言うなって!挑発もダメ!!」


 俺は必死になってラティスを止めるが、ハウランドの顔は真っ赤。


 どうやら、家畜という言葉が刺さったらしい


「おい、女。僕を誰だと思っているフォール家のハウランドだぞ?貴様、侯爵家である僕を侮辱しているのか??」


「あらあら、フォール家なのですね?貴方が申し訳ございません、どうにも私の目には侯爵家ではなく家畜に見えるもので、苦労していますわ」


 ラティスが侯爵家に対して煽りに煽る。


 そして、ハウランドの怒りが怒髪天を突いたのか俺達を指さして


「貴様ら!!フォール家に対する侮辱!!許されないぞ!?集団決闘だ!!貴様ら全員!この学園から追い出してやる!!」


 教師達がざわめき新しいトーナメント表が出来た。


 生徒達とのトーナメント戦とは別に


“フォール家と取り巻きVS田舎者イズフォルテ家”と書いてある。


 学園長公認だ。グルではないが、お父様の話を聞くと戦いを見るのが好きらしい。


 はあ、俺の学園ライフが台無しだ。


 折角だらけられただろうに、勿体ない。


 俺がため息を着くと、早速、戦いが始まるようだ

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