ウヰスキー・ラベル
私は少しばかり他人との会話に
「お国はどこですか?」
私のたどたどしい英語を聞いて、青年はにっこりと笑みを浮かべると
「日本語で大丈夫ですよ。生まれはイタリアですが国を
「ウイスキーの語源を知っていますか?」
青年はグラスの
「ウイスキーの語源はゲール語でウシュク・ベーハー(命の水)が
十三世紀のイタリアでとある
青年はそこまで語るとグラスに残された酒を一気に
「アクア・ヴィテを蒸留した
十三世紀の欧州ではワインは教会にとって神聖なものです。悪魔は
一介の
私は酒に酔った頭で青年の言葉を思い出していた。自分は「流れ者」だと青年は言った。その現代には似つかわしくない表現が示すところが今になって明らかになったようだった。
青年はそのまま椅子から立ち上がって一礼すると、酔いを感じさせない足取りでナイトクラブを後にした。遥か昔から一本の酒を探し求めて
それまで一言も語らずに
―ああ、これが噂の悪魔の酒か―
私の
(了)
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