第8話 再び走り出す

「連中は彼女がN市方向に道路を歩いて

逃げたと思い、最初は、そちらの方へ追って行ったから

僕らを見つけるのが遅れたのですか?」


「その通り。そして君の車に

彼女が乗っている確証はなかったが

取り敢えず止めて確認しようと追ったらしい。」


追いかけてきたヘッドライトが蘇り

あの時の恐怖が再び湧き上がる。



「とにかく彼らは逮捕されたから

君はもう大丈夫だから安心していい」



事の顛末を知り、ようやく長い夜が終わった気がした。

会議室を出て、警察署裏の駐車場の車へ向かう。



「良い車だな」

飯塚がインテグラのフェンダーを

ポンポンと叩く。


「連中はあの狭く曲がりくねった林道に入り

早々に君の車に追い付けなくなり見失ったらしい。

あんまり飛ばすなよ、走り屋」


少しバツが悪く、飯塚に頭を下げて車を出した。

飯塚が軽く手を挙げた。




ようやく終わった安堵感の中

あの夜以来の運転である事を思い出した。



インテグラ、少し遠回りするか。

プレイリストを変える。

やっぱりこんな日は氷室京介に限るよな。



東に向かうN市バイパスのインターチェンジが見えてきた__

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