第3話
近くにいた兵士っぽい格好をしている男に声をかけた。さっきから僕の周りでは悲鳴や叫び声が聞こえ続けているのだが、今はそんなことを気にしている場合ではない。
だが、その兵士?はこちらを振り向くといきなり剣を抜いて襲いかかってきた。
なんだこいつ?
人の形をしているけどまわりに黒いモヤがおおっている。
しまった!油断した!!
まさかこの状況で襲われるとは思っていなかった。
まずいな……
この距離だと避けられないぞ!
どうしよう!?
突然の状況に対応できずに混乱していたその時、目の前の男の動きが止まった。
まるで時間が止まってしまったかのように動かない。
一体何が起きたんだ?
そう思っていると突然黒いモヤが大きくその男を包み込み形を変えていく。
そして徐々にその姿を変化させていった。
これは!?
狼のような姿をしているが、その大きさは通常の狼とは比べ物にならないくらい大きくなっている。全身真っ黒に染まっており、禍々しい雰囲気を放っている。
こいつはヤバそうだ。
直感的にそう感じた。
「グルルルルッ!!!」
すると突然そいつが吠え始めた。
ビリビリとした空気を感じる。
次の瞬間、奴はその巨体からは想像できないほどのスピードで僕に迫ってきた。
速いっ!
僕はなんとか避けることができたが、先ほどまで立っていた場所を見ると地面がえぐれていた。なんて威力だ。
そしてそのままの勢いで突進してくる。
速すぎる!!
とてもじゃないが避けられそうにない。
くそっ!やるしかないのか!
覚悟を決め、剣を構え思いっきり振り下ろした。
ガキンッ!!!
という音とともに火花が散った。
硬い!!
刃が通らない。
一旦距離を取ろうと後ろに跳ぶ。
しかし、それを逃さないとばかりに追撃を仕掛けてくる。
早い!避けきれない!!
咄嵯に剣を立ててガードしたが、力負けして吹き飛ばされてしまった。
ドカッという衝撃と共に背中に強い痛みを感じた。
あまりの激痛に意識が飛びそうになるのを必死に耐えて立ち上がる。
くそぉ!
このままじゃ勝てないぞ!
どうすればいいんだ!?
そう思った時、頭の中に声が響いてきた。
(汝の力を示せ)
え? 誰の声だ?
周りを見渡すが誰もいない。
空耳だったのだろうか?
(我が名はアフム。我の力を望むか?)
再び同じ言葉が頭に響く。今度ははっきりと聞こえた。やはり誰かがいるようだ。
でもどこにいるんだ?
気配を感じられないぞ?
疑問に思っているとまた話しかけられた。
(答えよ。汝の望みは何ぞ?)
あぁ、もう!
なんなんだよいったい!?
とりあえず返事をしないと。
望みは……
強くなりたい!
こんなところで死んでたまるか!
強くなるんだ!
強くなってあいつを倒す!
だから頼む!俺を強くしてくれ!
(良かろう。ならば今一度問う。汝の望むものは何なり?)
僕は、力が欲しい!
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