【紡がれる星の物語 ~the sp[u]n star story~】

@dekai3

【星の瞬きは、詩】~song of twinkling~

―――宇宙の星の瞬きに意味があると判明したのは、地球の文明がピークを迎えてからだったらしい



―――星の瞬き

―――地球では、それは長年の間、空気の層による光の屈折現象による物だと思われていた



―――しかしある時、情報の保存技術の向上で長期間の映像の保存が可能になったことで、物好きな天体観測家がある一つの星の瞬きを莫大なデータに収め、そのデータを高性能な処理装置にかけて瞬きの規則性についてを解析したらしい



―――すると、その星の瞬きは長い周期を利用してはいるが規則性のある物だと判明し、天体観測家はこの結果を地球全土へ公開した

―――最初は単なる偶然だと笑い話扱いだったそうだが、中にはこのデータを真面目に捉え、研究する価値があると言う者も居た




『星の瞬きに規則性があるのならば、その規則性を捉える事で星の寿命を導き出せるのではないか』




―――そう考えた研究科達が、それぞれの国で、それぞれの研究施設で、独自に規則性についての研究を始めた

―――物好きな天体観測家が解析したデータを元に、地球上のあらゆる場所で規則性についての解読が行われ始めたのだ

―――でも、その規則性は長い割には同じパターンが複数あるので解読が難しく、研究は難航していたそうだ



―――しかし、これまたある時、一般公開された星の瞬きのデータを見た言語学者がある事に気付く

―――彼女は言語学者であると同時に、地球の各地の昔話を集める歴史学者でもあった

―――だからこそ彼女は気付くことが出来たそうだ




『星の瞬きは、物語を綴っている』




―――多くの人はこの発表を信じなかったそうだが、彼女が実際に星の瞬きのパターンと地球上の創世神話の類の文章の単語感覚がほぼ同じことを指摘した事で、それならば研究してみる価値はあるだろうと判断された



―――そして、数十年に渡る研究の末、実際に彼女の言った通りに星の瞬きは文章になっていて、物語性がある事が判明する



―――それは、星の瞬きを利用して物語を発信している生命体が存在する証拠にもなり、外宇宙へ向けての調査団が大量に発足される原因になった

―――同時に、この物語は『星が生まれてから終わるまでの記録を示した物語』でもある事も判明した

―――やがて寿命を迎える『星の記録』を誰かに伝える為、この星の生命がどう産まれ、どう育ち、どうしていったのかを、その星の生命体が自分達の記録を残そうと宇宙へと発信していたのだ




―――物語の中には星が滅びるまでの経緯と過程も語られており、奇しくも地球人達は当初の目的であった星の寿命を導き出す事にも成功した



―――しかし、この結果から計算された地球の寿命は、残り数百年だったそうだ。

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