第4話 【現実世界】迷走の始まり
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○下手エリア、フェイドアウト、漫画家エリア、フェイドイン。
楓 「バタッ? 妹?」
矢田「バタって、口で言ってましたけど? 女の子が行き倒れましたけど?」
楓 「これが壁ってことですか?」
やよ「まぁ、そうなるね」
楓 「へぇ、で、どんな壁ですか?」
やよ「それ聞いちゃう?」
楓 「聞いちゃいます」
矢田「もったいぶってないで教えてくださいよ」
やよ「……えへ」
矢田「決まってないんですか!? こんな早い段階で行き詰まってるとは思いませんでしたよ」
やよ「さぁ、二人とも文句を言う前に頭を働かせて」
矢田「待望の復帰作なのに、物語の骨格までみんなで考えるって、どうなんでしょう か?」
やよ「考えるより行動! 描き上げないと編集長に怒られちゃうでしょ!」
矢田「もうすでに怒られてますよ。締め切りは過ぎてるんですから」
やよ「だよね」
矢田「それに、怒られるだけじゃすまないと思います」
やよ「まさか矢田ちゃんはクビ、私は出入り禁止?」
矢田「それは間違いなく。それにやよいさんの原稿があがらなかったら、代わりに何が掲載されると思います? 編集長の描いた四コマ漫画が載るんですよ!」
楓 「まさか」
矢田「あの編集長は本気です。私と同じで元漫画家志望ですからね。自分の作品を載せたくて仕方ないんです。いつも載せるチャンスを伺ってますから。むしろそのために編集長まで上り詰めたっていう噂があるほどです」
楓 「すごい執念」
矢田「そのうえ、編集長の四コマ漫画死ぬほどつまらないんです。一度、無理矢理読まされたときは泣きました」
楓 「えぇー最悪じゃないですか」
矢田「あんな漫画が四十八ページも載ったら、私と先生だけの問題じゃなくなります。この漫画雑誌も廃刊になりますよ」
やよ「なんか思った以上に責任重大ね」
楓 「先生がこんな時期に旅行なんて行っちゃうからですよ」
やよ「楓ちゃん、しつこいわよ。ともかく前に進めなくちゃ」
楓 「それについては、私が良いアイデアがあります。この少女は……」
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