想いを伝えられなかった彼女は取り憑く

如月 愁

想いを伝えられずに死んでしまった幽霊


トラックのライトが視界いっぱいに広がる。もう逃げられない——

あぁ……最後に悠くんに会って、「好きです」って伝えたかった。

痛いのは……やっぱり怖いよ……。

……………あれ? 痛く、ない?……なんで?



……あ、悠くんがいる。

おーい、ゆーうくん! ……返事がない?それに……私、透けてる!?

そっか、幽霊になっちゃったんだ……。


ん〜「好きです」って言いたかったのに…… この姿じゃ声も届かないし、触れることもできない……。

でも、幽霊になったのなら——悠くんに取り憑いて守ってあげよう!

それが私なりの恩返しだよね。だって、今まで悠くんに助けてもらってばかりだったし。 貸しを返さなきゃ、私の気持ちの整理がつかない!

さて……取り憑いてみよっと。


『うわっ!なんか寒気がした…もしかして綾ちゃんかな?そんなわけないか。だって目の前でトラックに跳ねられて死んだもんな……』


あちゃ〜普通に取り憑いたら寒気を感じるのか〜

じゃあ悠くんの周りをくるくるまわっておけば大丈夫かな?


『なんか気温が下がっている……』


くるくる回ったら気温が下がるのか…夏の時に便利だね。

う〜んどうやって守ろうかな……?

とりあえず後ろから見守っておけば大丈夫かな…?


……それでもやっぱり言いたい。 悠くんにやっぱり言いたい。 見守ってるだけでなく、悠くんに「好きです」って、本当の気持ちを「好きです」って、本当の気持ちを伝えたい。


言えるのはいつになるんだろう?


無理かもしれないけどいつかは伝えたい…!





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