百合好きが生きたいと願ったら、TSしておまけもついてきた。

山宗猫史

学生編

第1話 プロローグ1

「お姉ちゃん!後ろ!」

「あぁ!後ろは任せろ!」

かえで、口調、直す。」

「いやいや、お前も人のこと言えないだろ!」

「私、個性、埋もれる。」

「お姉ちゃん達!そういうのは討伐してからやって!」

「すまん。」

「ごめん。」


 土の地面や壁、天井の洞窟のような通路の前後から空想物のファンタジーのモンスターに似たもの達が少女三人のパーティーに襲いかかろうと迫ってくる。

 お姉ちゃん、楓と呼ばれた少女は自身と同じくらいの棒を構えて後ろから迫るモンスター達を迎え撃つ。


「『俺を守れ。』『愛憎反転。』」


 楓と呼ばれた少女がそう言うと彼女に近い二体が反転、一体は彼女を守るかように構え、もう一体は迫ってきた仲間であろうモンスターに襲いかかった。

 楓は仲間だったものに攻撃され、混乱して隙ができたモンスターどもを棒で叩き、薙ぎ、突いて斃していく。


 前の方から迫ってくるモンスターは楓をお姉ちゃんと呼んだ少女と特徴的な話し方の少女が協力しながら斃していく。


 数分も経たない内に彼女らはモンスターを討伐し終える。


「楓、お疲れ様。」

「お姉ちゃん、お疲れ様!」

「そっちもな。お疲れ様。」

「楓、口調、女、する。」

「十六年でほぼ完成された男口調がそう簡単に変わらないぞ。」

「たしかに。」


 十六年の男口調が数ヵ月そこらでそう簡単に変わるわけがない━━






 大きな二つのお山と普通の二つのお山が押し合い潰れ、四つの突起物がお互いを押し合い転がし合う。

 下の方では貝と豆が合わさり擦り合いお互いを濡らしくちゅくちゅと音を鳴らす。

 上からはちゅっちゅと音が鳴ったり糸を引いたりしている。


美しい光景、曲線美が素晴らしい!


 綺麗だ!一生眺めていたいものだ!と感動する。


姉妹物も親友物も良い。


 今回の親子物も最高に良いなっ!と画面を凝視する。


「ママっ、ママ、何か、きちゃう、よ。」

「いいのよ。我慢しないで。それがイクってことなのよ。」

「いく?これが、イク?」

「ええ、ほら、我慢しなくていいのよ、ほら、イキなさい。」


 娘のイクタイミングを見て母親がスパートをかけ指を小刻みに激しく動かす。


「ううう、い、イっっっク……」


 娘が荒い息を吐きながら身体を少し痙攣させる。


母親のリードがすんばらしいっ!

娘の初らしさもすんばらしいっ!


「どうだった?」

「うん、すごく、気持ちよかった……」

「そう、それは良かったわ。」

「気持ち、良かった…………すーすー」


 母親が初体験で力尽き寝息を立てて眠ってしまった娘の額にキスを落とす。

 優しく愛情を込められた声で「お疲れ様。」と言い、自分と娘の身体を拭き、抱えてベッドに優しく下ろし、娘を抱き締める。


「ママ、大好き……」

「ふふ、私もあなたが大好きよ。ちゅ。おやすみ。」


 母親が可愛い寝言を言う娘の額に再度キスを落とす。


 暗転し、next.母娘に堕とされる娘の親友と字幕が出て動画が終わる。


「次は親友物でありママロリであるか。二人が親友に教え込む3Pか。待ち遠しいな……」


 俺は美月 楓、十六歳。日々の疲れ、荒れた心を癒すため、先の動画を視聴していた。


エロは世界を救うとは真実だな。


 このような動画がなければ、殺伐とした世界で早々に壊れてしまっていただろう。


あわよくば間近で見たい。参加はしない見たいだけ。男が混ざるべきじゃない。


名前だけじゃなく性別も女だったら良かったのにと何度思ったことか……


 女みたいな名前が大っ嫌いだったが、後に感謝することになるだなんて思ってもいなかった。


 俺は百合エッチ、レズエッチの素晴らしさに気づいてから、百合カップル、これから生まれる百合動画、百合漫画、百合ゲー、レズ動画、レズ漫画、そんな百合な彼女らや作者、製作者達を守る為、ダンジョンという脅威と戦っている。


 ダンジョンというものは俺が十歳の時、六年前に突如世界中に現れた異空間。

 扉のような黒い渦が突如様々な場所に現れ、その先が異空間ともいえるところだった。


 テレビでは速報でどの番組も中止され、決して黒い渦には「触れないでください。」「近づかないでください。」と流れた。


 黒い渦が出現するとその周囲の人が瞬間移動したように消えた。

 また黒い渦と触れるとまた瞬間移動したように消えた。

 そして少し後に黒い渦に周辺にいただろう人や触れた人、戻ってきた人達の存在があったからだ。


 全員が無傷で戻ってきたわけじゃない。

 片腕、片足を失った人、腕や足が折れている人、火傷を負っている人、大小傷を負った人達がいたからだ。

 胸に穴が空いた死体を傷だらけの身体で背負ってきた人もいた。


 まぁ馬鹿は何処にもいるわけで、「これはダンジョンだ!」「ファンタジーきたー!」「一攫千金のチャンス!」「僕の時代きたー!」「一層は雑魚ばかり、早い者勝ちだー!」と意気揚々と黒い渦に触れる人がいた。


 すぐに大小傷を負って逃げ帰ってきた。

 帰ってこない人もいた。

 ほんの一部成功者もいた。

 その者達から齎された情報は馬鹿が言っていたことに当てはまることが多くあった。


 中にいるモノ(以降魔物と呼ぶ)を殺すと身体能力が上がる(以降レベルアップ)。

 特殊な能力(以降スキル)が付く。

 魔法が使えるようになる。

 死体が消えるとドロップ品が現れる何かを落とす


 などなど一蹴したいものではあったが、現に黒い渦(=ダンジョン)というあり得ないものが出現しているのだから、そんなことはできなかった。


信じない人もいたが……


 とりあえず被害が広がないように速報を流れ続けた。


 ただ、いつもぐだぐだの政府がなぜかこの時は動きが早かった。


 自衛隊、警察が把握しているダンジョンの周辺を封鎖、各県調査の為に一部のダンジョンの中に入る。

 無線機、携帯は外とは連絡を取れなくなったが、同じダンジョンに入った者同士では連絡ができた。


 齎された情報通り、ダンジョン内の魔物を殺すとレベルアップし、スキルを取得した。

 死体が消えドロップ品も現れた。


 魔物の強さは場所によって区々だった。


 重火器で斃せる魔物、警棒で斃せる魔物、蹴りで斃せる魔物、全く敵わない魔物がいた。

 人型の魔物、獣動物型の魔物、ファンタジー物語の魔物(スライムとか動く岩石や植物などやグリフォンとか)がいたようだ。


 そいつらは等しく中に入ったもの達に襲いかかってくる。

 そしてダンジョンから外には出てこなかった。


 敵わない魔物がいたダンジョンには誰かが侵入しないように見張りを置くだけでほとんど潜らず、楽に斃せるダンジョンに潜ることが多かった。


 ドロップ品は本当に様々な物があって検査、研究された。

 肉類や野菜など食べ物は食べられることがわかり、スライムのドロップ品スライム液は洗剤、美容液、ゴムにできたりと様々なものに加工できる万能素材とのことがわかったり、他のドロップ品ともに何かしらに使えるものじゃないかと研究されている。


 ダンジョン出現から半年後に民間人がダンジョンの探索、採取を行うことができる資格が作られた。


 作られた当初は自衛隊や警察学校で学科試験と実技試験が行われた。

 半年で集められたダンジョン内の情報の講習からの学科試験、ダンジョン内で最低限の活動できるかの実技試験を受ける。

 両方合格した者に探索資格証が渡されダンジョンに入れるようになる。


 いきなり全てのダンジョンに入れるわけではない。


 政府が定めたランクの最低ランクのダンジョンから入れる。

 問題なく探索できたら次のランク、また問題なく探索できたら次のランクと徐々にランクの高いダンジョンに入れるようになる。


 素手や蹴りで斃せる魔物が出るダンジョンは最低ランクの十級、全く敵わない魔物が出るダンジョンは一級と定められた。


 ダンジョン出現から二年経ち、レベルアップした人々が一級のダンジョンを探索できるようになり始めたころ、それは起こった。


 魔物大溢出が起こった。

 把握しきれなかったダンジョンやあまり探索をしていなかったダンジョンから魔物が地上に溢れ出てきたのだ。


 想定はしていないわけではなかったらしいが、初めての事で初動が遅れ被害が出た。

 集落など壊滅したところもあったと授業で聞いた。

 幸い魔物はダンジョン内より弱体化していて討伐自体は楽であったらしいが広範囲と数の多さに対して探索者の数が少なく終息には時間がかかった。


 うちはそういうダンジョンが近くになくて被害が出なかったためこの時はあまり実感が沸かなかった。


 魔物大漏出の終息から一年、俺が十四歳の時にダンジョンに潜る者を増やす為、ダンジョン探索学校が設立された。

 


 そんな中、魔物大漏出の終息数ヵ月後に俺はネット広告の百合漫画を見たのをきっかけに百合好きに目覚めていた。

 また魔物大漏出が起きてそんな百合な彼女らや製作者達が失われたら……と魔物大漏出の脅威、彼女らが亡くなる恐怖、悲しみを想像して泣いてしまった。


 いっぱい泣いて俺は、俺が彼女ら彼らを守るんだとその時決意したんだ。



 ダンジョン探索学校は四つのクラスに分けられた。


 一級ダンジョンを探索できる者を育成する最上級クラス。

 二級から四級の上級クラス。

 五級から七級の中級クラス。

 八級から十級の下級クラス。


 探索学校は他の高校と同じく受験に合格すれば入学できる。

 国語、と数学、ダンジョン情報の試験と体力測定がある。


 彼女らを守ると決意した日、俺は志望校をダンジョン探索学校に決めた。

 翌日から朝ジョギング、筋トレをして夕方もやり体力作りをし始め、雨の日も雪の日も毎日続けた。

 冬の時期のジョギングは辛いが続けた。


 その甲斐があって無事県内のダンジョン探索学校の中級クラスに合格した。

 合格した後の今もほぼ毎日に続けている。


 ダンジョン探索学生は入学と同時に仮免許が発行され国、学校が間引きしている最低ランクのダンジョンに入ることができる。


 優秀な者はそれより上の等級のダンジョンに入ることができる。

 卒業後に卒業時のクラスの一つ下の本免許が発行される。

 最上級クラスなら二級、上級クラスなら三級、中級クラスなら六級、下級クラスなら九級の本免許が発行される。


 ダンジョンはパーティーを組んで潜る、探索することを推奨されている。


 中級クラスのクラスメイトの二組のカップルのパーティーや男一女子二のパーティーや男二女子一のパーティーなど男女混成のパーティーと組んだことがあるのだが、すぐに抜けてしまった。


男が邪魔なのだ。

ハーレムパーティーを狙っているわけじゃない。

女子同士の他愛のない話や連携、助け合いが見たいんだ。

そこに男はいらないんだ。


 これはパーティーのやりとりだけであって、普通に男友達はいるぞ、中学時代の。

 ダンジョン探索学校に入学してから未だただのクラスメイトで、友達と呼べる者はできていない。


 そんなわけで早々に俺は弾かれ、ソロで探索するようになってしまった。

 まぁ百合やレズな彼女達をダンジョンから守る為に、ソロでも探索を続けた。


 幸い特殊スキルのおかげでソロでも戦い続けられた。

 しかしパーティーと違って常に一対多数だから、時間がかかる。

 最初は怪我をしないよう立ち回り、後退しては一対一の状況を作ろうと魔物と戦うが中々に難しかった。


 毎回傷を負った。


スキルのおかげで治せたけど……


 ダンジョン探索学校には進級試験がある。


 一年の中級クラスの進級試験は九級ダンジョンの攻略、最深部のボスを斃すこと。

 ちなみに最上級クラスは七級のボス、上級は八級のボス、下級は十級のボスを斃すことが進級試験だ。


 試験をクリアできなかった場合下のクラスに降級される。

 下級クラスは留年だ。

 逆に下のクラスの者が上のクラスの進級試験を達成したら昇級される。


ーーーーー

あとがき

プロローグは三話あります。


もっとやれ!百合を見せろっ!と思ったら評価を。

面白いじゃん、続き早く上げろ。と思ったら☆☆☆、面白いなぁと思っても☆☆☆、少しでも気になるな。と思っても☆☆☆をつけていってくださいな!

冗談です。

前から☆☆☆、☆☆、☆をつけてください!

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