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その日はNさんと一緒に現場を中抜けして面談に出ることになっていた。Nさんは最後だし対面で行いたかったようだが、言うまでもなくザード@は会社が嫌で辞めるので自社になど行きたくなかった。結果として今回はリモートでとなった。
「ザード@さんがいなくなるかあ。寂しくなるなあ」
Nさんが言う。
「この後どうするんです?」
同席しているリーダー職のAさんが聞いてくる。
「まだいつからとは言われていません。出来れば6月は休みたいなあ」
「で、結局どこが一番不満だったわけ?」
ザード@は極めて遵法意識の低い営業職がおり、このSES企業は違法営業をしている以前に『何をしたら違法になるのか』を分かっていない疑惑があるとは流石に言えなかったのでお茶を濁した。
「強いて言うならお金ですね。今の現場の仕事内容が実際には開発プロセスの改善なので、それをやってこの給料はちょっとどうかと」
「なるほどなあ。やっぱそこになるかぁ」
NさんとAさんは頷いた。
「で、他には?」
「率直に言ってしまえば間に中間業者が入っているのも気に入りません」
「それなんだけど実は直受けになろうと動いてはいたんだよね。でも結局ダメだった」
その後もザード@とNさんとAさんとで話した後、営業のOさんを呼ぶと言う流れになった。
「まあこちらとしても人生の次のステージにザード@さんが旅立つという訳で応援しているんだわ。それは理解しておいてほしい。じゃあちょっとOさん呼んでくるから待ってて」
Nさんは一瞬出て行こうとしたが、すぐに画面に向きなおった。
「あ、ザード@さんは今の現場の担当営業がYさんからOさんに変わってるのは知ってるよね?」
しばらく待つと営業のOさんが入ってきた。
「この度は退職ということでよろしかったでしょうか」
「あ、はい」
「どういう風な流れにするべきだったでしょうか」
「次も決まっていますし5月中か遅くとも6月には辞めます。もしも6月も出るならテレワークなら出ますが、そうじゃないなら全部欠勤します。今更出て感染するのも馬鹿馬鹿しいので」
「はい、了解しました」
「では調整が済みましたら連絡いたしますので少々お待ちください」
このような流れで退職面談も終わり、後は辞めるだけとなった。
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