四人目(暗転)
面会日程:十二月十四日~十二月十五日
面会可能時間:午前十時から翌午後十時
今日も、ちゃんと一時間前に到着。
予定は、やっぱりファストフードから水族館のコースです。
ただ、ファストフードと豪華な夕食の内容は変えますよ。
そして、宿泊……。
今日は、先に聞いて見た。
「あの日の約束覚えてる?」
「あの日って、あの日か……」
「うん、たぶん、その日」
笑顔で答えた。
「なら、覚えてるよ。
でも……
なんで、それを聞いたの?」
「え? あ、ええと……」
「もしかして……OKってこと?」
「あ、いや、そういう事でも無かったんだけど……」
「けど?」
ああもう、昨日もしたし……いいか。
「まぁ、そういう事です」
そう答えてから抱きついた。
「もう、抑えられないよ?」
「もう、まだ、何か言わせるの?」
「わかった」
そして、事が進んで行く……。
だけど、いきなり彼が怒りの声を上げた。
「お前、約束破ってたのか?」
「え?」
あ、昨日の彼は今日の彼では無い、当然だ。
「俺が意識が無かった間に……いや、もっと前からか……」
「ちょっと待って、違うの……」
なんて説明すれば、ああ、混乱する。
「相手は誰だ? 俺の知らないやつだよな?」
「だから、違うって……」
「その体で言い訳が効くわけないだろう。
それで、あんなに積極的に、とんだ淫乱女だったんだ」
声が、怒鳴る様に大きくなっていく……もうやめて。
「お願い、そんなこと言わないで……」
彼の鬼の様な形相に、これ以上は、もう言葉が出て来なくなった。
「まぁ、いい、もう我慢する必要無いんだから。 覚悟しろ」
そう言って、強引にベッドに引き込まれた。
次の日の朝、
寝られた時間が遅かったからか、起きたらもう十時過ぎだった。
彼は寝ていた。
研究所に電話をする。今日は急に予定が入ったから、午前中までにしてもらった。
迎えにも来てくれるそうだ。
すぐに準備を済ませてから彼を起こす。
不機嫌かと思ったけど、そうでも無かった。
「昨日は、ごめん」
「いいのよ。 わたしが悪かったの。 時が来たら本当の事を話すわ。 でも、信じて欲しかった」
「ああ、待ってるよ」
本当に申し訳なさそうにする彼は、きっといつもの彼なのだろう。
その後、近くの駅まで一緒に行き、待ち合わせていた山田さんと落ち合った。
山田さんの車に乗り込む彼には、手を振るのがやっとだった。
せめて、笑顔を作ってあげるくらいできなかったのかと自分を責めた。
怖い。
あんな一面があったなんて。
だとしたら、結婚なんてできない。
彼とは高校の卒業の時に告白されて、付き合い始めた。
大学は別、彼には、やりたい事がありその方面に進んだのだ。
わたしを大事に思ってるからって決めてくれたと思ってたのに……
……そうじゃ無かった?
最初から、信用されて無かったのかな?
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