第55話 初実技の出来事
「エアルリーザはラハートフ、アリティーナはスタルード、ショコランはリョーレンと模擬戦を、他の者達は俺と模擬戦だ。」
実技の担当の教師がそう指示を出す。
実技試験を見て実力差がわかるものだが、半数以上はわかっているようだが、認めたくないのか本当にわかっていないのか文句を言うものがいる。
「どうしてエリザ達は別なのですかっ!」
「そうです!皆一緒にやるべきです!」
「モモの言う通りです!」
「モモさんの言う通りです!」
「はぁ、ホルスディンは実技試験を見ていなかったのか?」
「見てましたが、だから何ですか?」
「「「……」」」
「えっ?ホルスディン、本気で言っているのか?」
「だからなんなんですかっ?モモの言う通り一緒にやるべきですよ!」
「……本気なのか?」
「「「……」」」
厳ついマッチョ教師が目を手で覆い頭を振るう。
まじで言っているのか?
会わない内に目が曇っちゃったみたいだな……
「……はっきり言うぞ。お前達とエアルリーザ達では実力差があり過ぎるから、別にしたんだ。」
「たまたま試験管に勝っただけで、こんな高い評価をもらえるなんて、さすがオルヴェルド公爵家の令嬢ですねっ!」
「「「!?」」」
「……ホルスディン様、何を言いたいのですか?」
わからせるために模擬戦を申し込んでぼこぼこにしてやろうかと思ったら、エリザお嬢様が低い声でホルスディンに聞いた。
エリザお嬢様が無表情になってらっしゃる。
はい……
エリザお嬢様に任せます……
「エリザや寄り子の評価をあげるように指示されたんですよね。さすがオルヴェルド公爵家!」
「「「!?」」」
「……」
「魔力量を鑑定しなかったのもそういうことですよね?権力の使い方が上手いね。さすがオルヴェルド公爵家ですね。」
「……」
うん、魔力量は確かに指示があったみたい。
でも後に鑑定したぞ?
壊れたけどちゃんと直したから問題なかった思う。
強烈な閃光に面倒な教師が目をヤられていたけど……
四人もホルスディン達と遥かに違いすぎる魔力量をあの場で鑑定するべきじゃなかったもんな……
いや、今それはどうでもいい、ホルスディンもうこれ以上何も言うなよヤバいぞ……
「図星で声が出ないんですね!」
「……殿下は、我が家をそのように見てたんですか?」
「あ、あぁそうだ。」
「……そうですか。では私と模擬戦をしましょう。先生、いいですよね?」
「お、おう。一緒にって言ったのはこいつだしな。いいぞ。」
「……殿下、よろしくお願いします。」
「あ、あぁ。」
「ホルス様頑張ってください!」
「あぁ!」
「「「……」」」
エリザお嬢様もホルスディンも得物は実技試験の時と同じだ。
エリザお嬢様はショートソードと丸盾をプチアースで作り、自然体で立っている。
ホルスディンは訓練用に刃抜きされたロングソードを中段に構えている。
「はじめっ!」
開始の合図が出てもエリザお嬢様は無表情で自然体で立っている。
その様子にホルスディンは困惑するが、時計回りに警戒しながら移動する。
エリザお嬢様はホルスディンがエリザお嬢様の真後ろに回っても動かない。
ホルスディンは罠か?このまま攻撃してもいいのか?と迷うが、いつまでも動かないエリザお嬢様に痺れを切れてロングソードを振り上げてエリザお嬢様に走る。
エリザお嬢様は当たる寸前に頭上に丸盾を構えロングソードを難なく受け止め、払い上げて、振り返りショートソードの突きをがら空きのホルスディンの首に寸止めする。
「そこまで!」
ホルスディンは何が起こったのかわかっていない。
先生と俺達以外もわかっていない。
「え?いつの間に?」
「見えなかった……」
「振り下ろしたと思ったらなぜかまた振り上げていた……」
「殿下の首に突き立てられていた……」
「か、格好良い。」
「アリティーナ嬢!わかりますかっ!エリザお嬢様の格好良さを!」
「はい!動きも最小限で無駄がないですし、綺麗で凄いです!」
「ほぉ、わかりますかっ!」
「勝てる想像ができないでござる。」
「あぁ、勝てる気がしないな……」
「はい、勝てる気がしませんね。」
「エリザお嬢様は最強ですからねっ!」
「……殿下、わかりましたか?」
「……」
「オルヴェルド公爵家がそういうことをしていないことをわかりましたか?」
「……ことか。」
「?何か言いましたか?」
「あり得ない動きっ!禁呪を使っているんだな?」
「「「はぁっ?」」」
「「「えっ?」」」
「そこまで堕ちているなんて……」
「……殿下、あなたは本当に、何を言っているのですか?私は禁呪なんてものは使っていませんよ?」
「ほらっ!禁呪じゃなくても他に使っていたんだっ!」
「多少の身体強化の魔法を使いましたが……」
「やっぱりっ!も「ホルス様っ!」あぁモモ、すまない。卑怯な手をされて負けてしまった……」
「「「……」」」
「いいのです。次勝てばいいんです。」
「そうだね、ありがとう、モモ。」
「一緒に頑張りましょう。」
「あぁ。」
二人のやりとりを俺達は唖然として見ている。
「先生、一位のホルス様と二位の私、離れたところで二人で模擬戦しててもいいですか?」
「私もモモの近くでいいですか?」「僕もモモさんの近くでいいですか?」
「……(面倒臭いからいいか。)あぁ、いいぞ。」
「「「ありがとうございます。」」」
ホルスディンとモモティルナと逆ハーレムメンバーが離れていった。
皆一緒にってのはどこいった……?
面倒臭いけど、先生が面倒臭いって言ったぞ?
いいのか先生?
「じゃあ、こっちは真面目にやるぞ。最初言った通り別れてやるぞ。」
「「「はい。」」」
「「……はい。」」
不完全燃焼のまま撤回できないまま授業が再開された……
ーーーーー
あとがき
ここまで読んでいただきありがとうございます。
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