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怖い物を見ないようにするには、どうすればいいのか? 目を閉じるというのも一つの方法だろう。しかし、その方法で、恐怖が解決することは少ない。怖い物──幽霊や猛獣、
「なぜ、本の背表紙を塗り潰したのか。シンプルな答えだけれど、犯人はそれが怖かったんじゃないかな。その本が持つ何かしらの要素が、犯人の恐怖に触れてしまったんだよ」
「
「蜘蛛恐怖症なら、芥川龍之介『蜘蛛の糸』、
「そのまさかだよ。犯人はマジックペンを手に持っていたんだ。今日は、波が好きな作家の新刊発売日なんだよね? その本を薦めるポップを書くために、犯人はマジックペンを持っていた。犯人は書店の店員だ。
本が棚にそのままだったのは、いくら塗り潰したとはいえ、元々恐怖の対象だった文字に触れたくなかったからだよ。今朝、新刊のポップの準備をして、レジカウンターに戻るために文庫本コーナーを通った。その時に本の背表紙は黒く塗られたんだ。そろそろ、他の店員がそれに気付いて、怒られてるんじゃないかな?」
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