第3話
【空間創造】で創った空間を閉じ、元の世界に戻ってきた。
「っはー! 疲れたー!」
そう言いながらベッドに倒れ込む。
外を見ればもう日が暮れ、外から差し込む光が青くなっていた。
「あぁ~やっぱこの光好きだなぁ~!」
『ご苦労だった。そうだな。ここで上級魔法を使えるようにしよう』
「もう早速何言ってるかわかんねぇんだけど? ……わかったよ。お好きにどうぞ~」
俺が諦観し、そう返すとアザトースが何かを呟いた気がした。
直後、体の内側から激しい痛みを感じる。
身体を流れる血液が熱く感じ、鼓動も早くなる。
それなのに、一切声が出ない。
それが十秒くらい続き、やっと痛みが収まった。
「っは~!!! はぁ……はぁ……なんでまたこんな痛いんだよ……」
『よし。では上級回復魔法を使ってやろう。【
「あぁ~癒される~……ふぅ。で? 俺は上級魔法が使えるようになったんだって?」
『あぁ。ついでに魔力もかなり増幅してある。さっきは何回も我が魔力を与えたが、あれくらいの魔術であれば魔力の補給は一回くらいで済むぞ』
「うへぇ……マジかぁ……もしかして俺、世界で一番魔力多いとかない?」
『もしかしたら、そうやもしれぬな』
「うっわぁ……そうだ。一つ聞きたいんだが、なんでもっと早くこうしなかったんだ? いつでも出来たように感じるが」
『それは、さきほどの訓練で我の与えた魔力、魔法、魔術が正常に働くかを確かめたかったからだ。異常があってはいけないだろう?』
「確かに辻褄が合うな。でももう少し遅くても支障はなかったんじゃないか?」
『いや、”奴”が動き始めたようだからな。ゆっくりしてられぬのだよ』
「”奴”?」
『その話はいずれ。ほら、もう7時だぞ。夕飯の時刻だ。そろそろ準備しておいたほうがいいのではないか?』
「うぅ……わかったよ」
話をそらされたので、とりあえず(日課の)SNSを開く。
「ん? ”世界初、Sランク冒険者誕生”? 気になるニュースだな」
『冒険者? とは何だ?』
「アザトースは知らないのか。よし、やっと俺が説明出来るな。ごほん。冒険者とは、国際的な組織である”冒険者組合”に所属する者たちだ。
そして、冒険者にはランク付けがされていて、下からD、C、B、A、S、だ。ランクによって受けれる依頼や入れるダンジョンが異なる。今回のニュースはSランクが誕生したって話だな。今まであるだけだったんだが……どんな奴なんだろうな?」
『なるほど。確かに気になるな。話の通りなら、冒険者の中で一番強いということになるのだろう? ならば尚更だな』
「そうだな。あ、明日土曜日だし、冒険者組合行ってみるか?」
『了解した。そうしよう』
「あっ7時だ。今日の夕飯は何かな~」
―――――――――――
そして土曜日。俺は冒険者組合に来た。
もちろん魔法で。
わりと(徒歩では)遠かったから……
まあ僕は基本外に出ないってのもあるけど……
「よし、着いたな。ここが冒険者組合だ」
俺の前にあるのは、地上5階建て、地下5階の大きな建物で、
外装は洋風でおしゃれな感じだ。
早速入ってみる。
既に一度学校の授業で来ているとはいえ久しぶりだ。
なんだか懐かしく感じる。
内装は、左側に様々な受付、右側には休憩するスペースがある。
ぶっちゃけ役所みたいになっている。
奥に進み、階段を登って二階へ進む。
二階はクエストを受ける場所になっていて、
ラノベでよくある冒険者ギルドみたいな感じだ。
とりあえず僕のランクであるDの依頼板を見る。
「えぇ~っと……あ、これなんかいいかも。”D級ダンジョンに現れる魔物の素材回収”。納品した魔物の種類によって報酬が変わるタイプか。これにしよっと」
クエストを選び、冒険者カードをかざす。
そして依頼の受付へ行く。
「これ……お願いします」
そう言って冒険者カードを渡す。
「受注しました。期限は一ヶ月です。頑張ってください」
依頼にカードをかざしただけでカードに情報が登録されるので、
受付にはカードを渡すだけでいい。なんて便利なんだ。
さて。冒険者組合を出てダンジョンへ向かおう。
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