第45話

「焼き肉」


 メイの焼肉攻撃が再発し、結局僕はメイ、ユヅキを連れてお店焼肉に行く事になった。


 ヒマリとユキナは遠慮してこなかったけど、ここら辺でグループの線引きが分かる。

 

 一見クールなユキナと、おっとりしているヒマリは、性格は違うけど気を使って遠慮する。


「焼き肉楽しみだね!」

「そうね、私もお肉は好きよ」


 それに比べ、メイは遠慮すらせず奢って貰うつもりだ。

 ユヅキは自分の分は払うと言って遠慮はするけど、イベントには基本参加する。


 メイとユヅキは、男性が苦手ではあるけどそれ以外の部分は基本リア充だ。


 そして、ヒマリとユキナは、超絶美人だけど僕と似たモノをどこかに感じる。

 誘われても反射的に『僕が言ってもいいのかな?』と感じてしまうリア充ではない内面がよく分かるのだ。


 電車に乗って焼肉店に入ると、肉を焼く匂いでお腹が鳴る。

 席に案内されるとメイが言う。


「ご飯大盛り3つと焼肉セット、後飲物を頼もうよ。私サイダーね」

「僕もサイダーにする」

「私もサイダーにするわ。それと冷麺も頼むわね」




「OK、ご飯大盛り3つ、焼肉セット、それとサイダー3つ、冷麺1つでお願いします」


 僕は素早く注文を済ませる。

 メイとユヅキは今か今かと肉の到着を待っているのだ。


 火がつけられ、網が炙られていく。




 店員さんが肉を持って来ると、席に置かれた瞬間にメイが肉を網に投入した。

 素早い!


 そしてメイとユヅキは焼けた瞬間に肉を取って食べていく。


 母さんがお家の焼き肉で言っていた。


『焼肉で積極性が分かるのよ』


 肉を食べるメイとユヅキを見て、肉食系の言葉が脳裏をよぎる。


「お肉が足りないわね」

「焼肉セットと、カルビ追加だね」

「タンも食べたいわ」


 やっぱり2人とも肉食系だ。


「焼肉セット1つ、それとカルビ1つ、タン1つでお願いします」


 僕は追加注文を済ませる。

 

 冷麺が運ばれてきた。


「冷麺っておいしいのかな?」

「僕も食べた事が無いよ」


「美味しいわよ。好みは分かれるけど、さっぱりしててほ酸味もあって焼肉とも合うのよ」


 そう言ってメイと僕に冷麺を食べさせてくれる。


「確かに、脂っこい肉と合うね」

「おいひいよ」


「メイ、口に詰め込みすぎだよ」


 こうして焼肉会は続く。


 暑い室内と、火照って体の外と中から熱くなる2人はピンク色に体が染まっていく。

 特にユヅキは暑がりで、汗と火照った肌にむらむらする。


 ユヅキがサイダーを飲む。


「ああ、んん、いいわね」


 その吐息にもドキドキする。

 メイが僕を見る


「お兄ちゃん来てよかったよね?」

「……たまにはね」


 笑顔で言うメイに否定したくなるけど、否定できない自分が居た。


「ああああ!そうだ!焼肉で体が熱くなってスル話を思いついたよ!」


 メイは急いで肉とご飯を口に詰め込み、サイダーを飲み干す。


 汗とピンク色に染まり、色っぽくなったユヅキを見てスケッチするが、焼き肉に満足し、タブレットにペンを走らせるメイはもう止められない。


 焼肉で体温が上がったせいかテンションが上がって書き続ける。




 焼肉が終わると、メイは僕の背中で寝ていた。


 電車に乗って、歩いて家に帰り、リビングで上着を脱ぐと、ヒマリとユキナがいる前でユヅキが言った。


「シュウ君、一緒にシャワーを浴びようよ」


 ヒマリとユキナが同時にこっちを向いた。


「ヒマリとユキナにも聞こえているよ」

「そ、そうだけどぉ、でもぉ、学校の企んだシュウ君の横顔を見て興奮しててぇ、それに焼肉を食べたら、もう、したくなっちゃうしぃ」


「ユズキ、酔っているのかしら?」

「酔ってないよ。でも、最近忙しくて我慢してて、体が熱くなっちゃったからぁ。明日は、はあ、はあ、休みだし」


 ヒマリは何も言わず真っ赤になり、僕とユヅキを見る。


 ユヅキは、吐息が荒くなっていき、僕に近づいてくる。

 耳元でユヅキの吐息が聞こえ、僕の腕を取る手が熱い。


「わ、分かったよ」

「待って、コンドーム」


「え?」

「コンドームを取って来るね」


 それって、お風呂で!

 僕はコンドームを取ってきたユヅキに導かれるようにシャワーを一緒に浴びて、そして2人ベッドで寝た。


 ユキナとヒマリは何も言わず、シャワーを浴びてベッドに向かう僕とユズキを見ていた。


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