美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ

第1話

「んおおおお!お兄ちゃあ、あ、あん!意地悪うう!」

「メイはここが弱いんだろ!」

「お兄い!んおおおおおおん!」


 僕【山田集】ヤマダシュウと妹の【山田芽以】ヤマダメイは一緒にベッドで抱き合う。


 僕は妹をいじめているわけじゃない。

 僕は責めるのが好きで、妹は責められるのが好き、両者の趣向は完全に嚙み合っていた。


 妹のメイは妹ではあるが血のつながっていない義理の妹だ。

 そして、お互い同じ高校に通う18才でもある。


 僕の父さんとメイの母さんが結婚し、僕たちは家族になった。

 年頃の男と女が一緒に住むことになれば、こういう関係になるのは、よくある事だろう。



 お互いが求め合うように抱き合う。

 そのとき、いきなり部屋の扉が開かれる。


「お母さん!」

「母さん!」


「まあまあ、これは家族会議ねえ」

「……母さん、出かけてるんじゃなかったの?」

「う~ん、そうだったんだけど、予定が変わったのよお。帰ってみるとメイの大きい声がして見に来たの」


 僕の義理のお母さん【山田香】ヤマダカオリは僕とメイの現場を完全に抑え、その日の夜、家族会議が開かれた。




 テーブルに並んで僕とメイが座り、対面に母さんと父さんが座る。


 僕の実の父、【山田勇也】ヤマダユウヤはビールの封をカシュ!と開け、ビールを胃に流し込む。


「あらあら、お父さんもう飲んじゃうの?」

「母さん、飲まなきゃやってられねえだろ」

「そうねえ。完全にアウトよねえ」


 僕とメイは汗をかく。

 僕は落ち着かず、母さんに出されたコーヒーを口に入れる。


「でも~私とお父さんは毎日シテるのに、2人は駄目っておかしいわよねえ」


 僕と父さんは口に含んだ飲物を吹き出した。

 母さんは予想外の爆弾発言をする事がたまにある。

 そして僕の妹のメイもその血を引いている。


 父さんは吹き出した飲物を拭いた後口を開く。


「まあ、なんだ。俺の意見を話す」


 父さんは仕切り直すようにおほんと咳払いをした。


「正直言ってこの事は秘密にしたい。俺は自転車屋をやってて、母さんは飲食店をやってる。どっちも客商売だ。すぐに噂の広まる田舎で表沙汰にはしたくない。そこでだ。俺の意見は2つ。


 高校を卒業するまででいい。


 絶対にバレるな。

 子供は作るな。


 この2つだけは守ってくれ」


「えっと、母さんはそれでいいのかな?その言い方だと僕とメイはまた……」


「するんでしょ?お父さんは下手に隠れてされるより、私たちが知ってる所でして欲しいのよね?」

「そうなるな。隠れてラブホにでも行かれて見つかるより、まだ家の中でする方がマシだ」


 僕はほっとしてコーヒーを飲む。


「お兄ちゃん。今日から一緒に寝られるね」


 メイは急に元気になった。

 ストレスから解放されて生き生きしている。

 僕はコーヒーを吹き出した。


「メイ、さっき子供は作るなって言われてるだろ?」

「今日は大丈夫な日だよ」


「メイ!駄目よお!シュウにコンドームを付けてからしなさい!」


 母さんもそういう問題なのか?

 母さんは浮世離れしている所があるからなあ。

 いや、言わないでおこう。


「僕がコンドームを買って来るよ」

「シュウ、ばれたら駄目って言っただろ。お前まとめ買いするだろ?そこを見られたらまずいんだよ。俺が明日買って来る。それまでは何枚か渡しておく」


 父さんはコンドームを5枚持って来た。


「シュウ、手裏剣みたいにビュッビュビュッビュ使いすぎるなよ」


 母さんが笑って父さんの背中をぽふっと叩いた。


「もお、手裏剣って、ふふふ!全然違うわよお!それにビュッビュって、ふふふ、ふふふふふふ」

「ははは、母さん、面白かったか」


 両親が笑う。

 僕達は危機を脱し、家族会議が終わるとコンドームを使って寝た。




 僕は昨日の事を思い出し、放課後の教室で顔が赤くなる。

 僕は今教室に居るのだ。

 俺の前で話す男子の3馬鹿が俺をからかう。


「さすがモブでおじゃる。ヒマリ殿の話をしただけで顔が赤くなるとは、これだからモブは」

「うるさいよガリ、そういうのじゃないんだ」


 俺は3馬鹿にモブと言われている。

 だから俺はこの3馬鹿をガリ・ブタ・マッチョと呼んでいる。

 見た目も呼び名と同じ感じだ。


 僕をモブと言いたくなる気持ちは分かる。

 黒縁の伊達メガネをかけて、背は普通より少し高いけど普通。

 髪はぼさぼさで、いつもは目立たないように発言せず、モブで居る事を意図的に選択している。

 僕は目立たない人間で、特徴が無いんだ。


「おめー顔が真っ赤じゃねーか」

「そうじゃないんだ。ブタには言っても分からないよ」


「モブの後ろのメイさんは、いいのか?」


 マッチョに言われ、妹のメイを振り返る。

 メイは俺の服を後ろで掴んで3馬鹿を警戒していた。


 メイは見た目が整っており、目がクリッとしている。

 いつも落ち着きがなく、背が小さい。

 肌はプルンと潤いがあり、シミ一つない。

 背が小さいとは言ったが、胸とくびれはあり、魅力は十分だ。

 髪はショートカットで肩にかからない程度でさっぱりしている。


「メイ、すまなかったな。ブタとマッチョとガリが怖いよな。すぐに帰ろう」


 3馬鹿が僕の挑発に乗って騒ぐが、メイが「ひ!」と小さく驚くと急に静かになった。


 こいつら3馬鹿は意外と気を使う所がある。

 俺と言い合うのも、言い合える関係だからだ。

 3人とも紳士というより変態紳士だけど。


「メイ、一緒に帰ろ」


 クラスの人気ナンバーワン、【夏空日葵】ナツゾラヒマリがメイを連れて帰る。


 3馬鹿がメイとひまりの後ろ姿を見送った。


「いいでおじゃるなあ」

「最高だな」

「うむ、いいものだ」


「僕たちも帰らないか?」

「もう少し美人四天王を見送るでおじゃる」

「美人四天王ってなんだ?」


 3馬鹿は僕の話が耳に入らないようだ。


 ガリは教室からメイとヒマリが見えなくなると、教室の窓側に移動し、校庭に出て歩くメイとヒマリを窓から見送る。

 当然ブタとマッチョもシンクロしたように動く。

 3体の亡霊のようだ。


 そして、メイとヒマリが見えなくなった瞬間に豚が大きな声を出した。



「おめー!美人四天王を知らねーのかよ!」

「ツッコミが遅くないか?」


 





 あとがき

 新作です。

 分かりやすさ重視でキャラの名前はこれからカタカナにします。

 (フリガナを毎回振るのが面倒なのです)

 現状93000文字分執筆してあります。

 人気が出なければそこで完結です。



 キャラ一覧

 まだ未登場のキャラも記載します。


 主人公:山田集=シュウ


 美人四天王

 妹:山田芽以=メイ

 同じクラスの美人:夏空日葵=ヒマリ

 新米教師:秋月結月=ユヅキ

 高校卒業:冬月雪菜=ユキナ


 3馬鹿男子、覚えなくてもいいです。

 ガリ

 ブタ

 マッチョ


 両親、は覚えなくていい予定

 母:山田香=母さん

 父:山田勇也=父さん

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