エピローグ

エピローグ

*

好きな人ができたなら好きじゃなくなった人とは離れればいい。


もう忘れたい事なら忘れればいい。


いや、もっと簡単なこと。


苦しくて動けないなら誰かに頼ればいい。


震えて文字が書けなければパソコンで打てばいい。


本音を言えないなら嘘で塗り固めればいい。


好きなら、好きと言えばいい。


愛しいなら一緒にいればいい。


そんなけだ。*


「こんな感じかな。」


「何これポエム?」


「えっ、びっくりした。見てたの?」


「実はずっと後ろにいました。」


「怖っ。」


「うそうそ、さっき入ってきた。」


「ノックしてよ。」


「中学生みたいなこと言うね。」


「ガキで悪かったな。」


「この詩、この前のこと書いてるんだよね?」


「そうだよ。」


「綺麗だね。」


「え?」


「いや、こんな当たり前のことができる世界なら綺麗だなって思って。」


「じゃあ俺らは綺麗だな。」


「だね。」


「おい、何するんだよ。」


「だって愛しいなら一緒にいればいいんでしょ?」


「抱きつかなくっても俺らいつも一緒にいるじゃん。俺は離れないよ。」


「でも、好きな人ができたら好きじゃなくなった人と離れるんでしょ?」


「俺が不倫するとでも?」


「1回してるじゃん。」


「君とね。」


「1回してる人はまたするって言うじゃん。」


「じゃあ今度も君と不倫しようかな。」


「何それ。訳わかんない。」


「笑いすぎ。あといつまで抱きついてるの?」


「このままベッドに連れていくつもりですけど。」


「まじか。」


「まじですよ。」


「ちょっとタンマ。俺、風呂入ってくるから。」


「じゃあ、お供します!」


「いいって、待ってて。」


「いやいや。」


「なんか前よりついて来るようになったよね。」


「嫌なの?」


「全然。」


「私さ、怖いんだよ。」

「あなたがまた消えてしまいそうで怖いんだよ。離れている間に消えてしまいそうで怖いよ。」


「もうどこにも行かないから。」


「約束だよ。」


「約束する。」


「じゃあ、」


「じゃあ?」


「じゃあお風呂一緒に入りましょう!」


「いや結局そうなるんかい!」

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