第18話新事実に驚愕

「あぁーヨリを戻してって懇願を突っぱねたのかぁ〜あんた」

察した声音で迎える姉。

「そんな気分になるわけない、だろ……以前の、関係になんて……」

俺の帰還を迎えた姉に、無愛想な返答をした。

廊下側の壁に置かれたパイプ椅子に腰を下ろし、賑わうコスプレイヤーの群れを眺める。

「ふぅ〜んぅ……今頃、元カノは号泣してんね〜ぇ絶対っ。かわいそー、あんたの元カノ」

「ぜってぇ、んなこと思ってねーじゃん姉貴……同性じょしにさした興味ねーんだから」

「えー、そんなわけないなぁ〜い。かわいそーって思うよ、あの娘のこと……威嚇して敵意向けてくるのが同性じょしってだけで、嫌いでも興味ないってのでもないよ」

片手をヒラヒラと揺らし、否定する姉。

「沙耶華は違うっていうのかよ。姉貴にとって」

「そだねー。元カノのこと、名前で呼ぶんだぁ〜克貴ぃ。苗字じゃないのかぁ〜」

「うっせぇ、呼び方なんてどうでも良いだろうが」

元カノを名前で呼ぶことを指摘され、拗ねて返した。

「冬視さんの画策プランが壊れちゃったなぁ。やっぱ台無しに……」

「……はあっ!?冬視さんって、誰ッ——!」

姉のさりげない呟きに聞き逃してしまうところだった。

思わずパイプ椅子から立ち上がり、叫んでいた。

「あんたの元カノのおにぃさん。ちぃ〜っとした知り合いなんだよねぇ、かっちゃんとは」

「はあっ!?どういうことだよッ、姉貴!」

俺は咄嗟に姉に胸ぐらを掴んで訊いた。

「そこにぃっ……居る、彼だ、よ。冬視俊之ふゆみとしゆきくんは……」

胸ぐらを掴まれた姉が、冬視の兄をひとさし指で差した。


姉のひとさし指の先にいた男性は、好青年だった。





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