いざ、血風輪廻のその先へ
すぽんじ
第一章 始発点
第1話 陰鬼
―――2022年 東京 品川区
人類はある脅威と戦うために今日も戦っていた。
【緊急警報!緊急警報! 現在品川区にて『異界の門』が出現しました! 市民の皆様は至急避難を開始してください!】
鳴り響く警報と共に現れる黒い門。
そこから出てくる異形の化け物、
「陰鬼が現れたぞ!」
「早く逃げろ!」
「おい! 後ろから押すんじゃねぇ!」
「いいから早く前に進め!」
「
陰鬼の出現により逃げ惑う人々。
化け物との鬼ごっこは狂乱の如く恐怖から始まった。
「うわぁ!……や、やめ……べぇ…」
「た……助…げっ…」
「…い…嫌だ……いや…ばぁ…」
捕まったものから殺され、血飛沫が飛び、地面が赤く染まっていく。
それを見て恐怖は膨れ上がり、阿鼻叫喚となる人々は一心不乱に陰鬼から逃げ続けた。
「グギャギャギャギャギャ」
陰鬼は楽しむかのように人を殺し、一人、また一人と捕まえては殺し、まるで無邪気に遊ぶ子供みたいに殺していった。
「ぁ…待って……助けて…」
逃げ遅れた一人の男性が助けを求めるが、振り返る人はおらずに陰鬼に捕まり、絶体絶命の状態になった。
男性はもうダメだと目を瞑った瞬間、突如現れた人物が持ってた刀で陰鬼を斬った男性を助けた。
「大丈夫ですか?」
「…き、君は?」
「俺たちはツクヨミ機関の隊員だ。奴等の相手をするから、ここから早く避難してくれ」
「は、はい!」
男性は震える体で立ち上がりながら逃げ、助けた少年は見送ってから陰鬼の胸を睨みつけた。
その後ろから少年と同じ服装をした10人の男女が駆け付け、隊長である少年の後ろに立った。
「
「近くにまだ逃げ遅れた人がいる。俺が陰鬼の相手をしてる間に救助と避難をさせろ」
『了解!』
隊長である
「よっす、マッキー。待たせたな」
「遅かったな、
「東京に配属される親友の迎えに行く準備中で警報が鳴ってな。それで遅れた」
風でなびく和袖羽織のようなパーカーを着た
「
『2人の前にいるのは全部で60、全部小型の陰鬼みたいね』
「了解。安土、俺たちだけで全部相手するぞ」
「へへっ、まとめて俺の
自分の部隊のオペレーターから陰鬼の数を聞いた緒方は、横にいる安土と一緒に陰鬼の群れに向かって先頭から持ってる武器で斬り伏せていった。
「すごい……あれがツクヨミ機関の隊員の実力か…」
緒方の部隊の隊員によって助けられた人が、陰鬼と戦ってる2人を見ては驚いたように呟いて勇ましい姿を目に焼き付けては安全な場所に走って行った。
「おーら、こんなもんか!」
嬉々として相手をしている安土と、襲い来る陰鬼を冷静に相手しては首を斬って一撃で仕留める緒方のおかげで、全員の避難誘導を終えた時には陰鬼の死体だけが転がってた。
「夢宮さん、小型60体の討伐を終えました。他の部隊の援護は大丈夫ですか?」
『お疲れ様、今のところは大丈夫そうだから安心して』
耳に付けてるインカムで夢宮に報告をした緒方は、一息つきながらも周囲の警戒を緩めなかった。
「いやー終わった終わった。小型だとちょっと物足りないよなぁ」
「警戒は緩めるなよ……って、返り血が酷いな」
安土の顔や持ってる刀には陰鬼特有の黒い血がべったり付いていて、それを見た緒方は思わず顔を引き攣らせた。
出現した小型の陰鬼の
『緒方君、気を付けて! 門から中型の反応するわ!』
夢宮の声と一緒に異界の門が現れ、そこから巨大な腕の陰鬼や、蜘蛛の見た目をした陰鬼が数体出てきた。
「巨腕の
「中型でも油断はできない。
2人は霊力という謎のオーラを出すと中型陰鬼に向かい、豪筋と荒網に向けて刀を振った。
さっきまでの攻撃とは一段階威力の強い斬撃は、丸太のような太い腕を簡単に斬ってみせ、続く第二撃で首を断ち切った。
「「ツクヨミ剣術奥義――“
2人が出した剣技は、彼等が所属する組織の剣術奥義。
居合から始まるその剣は、ツクヨミ機関が陰鬼に対抗するために編み出した剣術による一撃。その一太刀は岩石を断ち切れるほどの威力を持つ。
豪筋と荒網は攻撃を繰り出すも押し切られてしまい、2人の剣によって斬られてしまった。
「やるな、マッキー」
「そっちも、相変わらず熟練された剣術な事で」
お互いに認め合ってるような会話をしながらも、残った豪筋2体を相手にしようとした瞬間、突然1体が2人の横を素通りして避難している民間人の方に全速力で走りだした。
「標的を変えた!?」
「マズいぞ、早くヤツを……うおっ!」
慌てて素通りした豪筋を追うとした2人だったが、残りの1体が自慢の剛腕を武器に2人を取り押さえるように地面に這いつくばらせた。
「この…放しやがれ!」
「……“影辻・四連”!」
両腕ごと体を押さえられてた緒方とは違って、運良く胴体だけだった安土は自分が持ってる
片腕を斬られてバランスを崩した隙に緒方も脱出して、豪筋の首を斬って残った陰鬼がいないのを確認してから避難をさせてる隊員に叫んだ。
「民間人を追ってる豪筋の足止めをしろ!」
緒方は周りにいる部隊の子に指示を出し、銃を持ってる隊員は動きを止めさせようと発砲した。
しかしそれでも豪筋は動きを止めようとはせず、後ろから全速力で追ってる安土との距離は少しずつしか縮まらなかった。
「クソッ、間に合え…!」
必死に追いかけてる安土だが、もう目の前にまで迫ってる豪筋の腕が今にも逃げてる人を捕まえようとしていた。
その場にいた全員が、間に合わないと思おうとしていた。
―――伏せろ
何処からか声が聞こえると、上から群青色の槍を持った少年が豪筋の肉体を貫き、確実に心臓を壊して絶命させた。
「ふぅ…ギリギリセーフだったな」
そう言って豪筋の上から飛び降りると、衝撃で倒れてしまっていた女性に手を差し伸べた。
「大丈夫ですか?」
「あっ…はい。あの…あなたは一体…?」
「ただのツクヨミ機関の隊員ですよ。私服ですけど」
まだ冬の寒さが残る3月の上旬に似合った薄手のダウンジャケットを羽織って、ジーパンに赤のTシャツを着たその人物は、間違いなく普通の市民だった。
だが先ほど大型陰鬼を一撃で仕留めにかかる勢いの突きは間違いなくツクヨミ機関の隊員の実力さながらであり、身分証などを見せなくてもすぐに理解できた。
その場にいた誰もが誰なのかと思っていると、安土が驚いた顔をして口を開いた。
「―――
「ん? あっ、透真」
水城と呼ばれて振り向いた少年は、安土の顔を見ると彼の名を言って近づいた。
後から来た緒方は彼と知り合いなのかと思っていた矢先、水城は突然安土の胸倉を掴むと怒りを露わにした。
「お前なんで電話に出ねーんだ‼ 一時間前に空港に着いてたんだぞ‼」
「やめてください! 暴力反対!」
「無言着信でもいいから俺に連絡しとけよ‼ 前に自分で「俺が無言着信をした場合は“緊急の連絡”だ」って、言ってただろうが‼」
「討伐を優先して忘れてました。ごめんなさい…」
素直に自分に非があると思ってる安土は水城に謝り、溜息を吐きながらも本気で怒っていなかったから水城はあっさりと手を離して頭にチョップを入れた。
その様子を見ていた緒方が誰なのか気になって近付き、水城に声を掛けた。
「えっと、アンタはツクヨミ機関の隊員でいいのか?」
「ああ、そうだよ。今日から東京にあるツクヨミ機関総本部で活動する、
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【ツクヨミ機関】
江戸幕府の将軍、徳川家康によって全国にいた陰鬼を討つ者を集めて、陰鬼に対抗するために作られた組織。
東京に総本部を置き、各地方の中央都市に本部、そこから県ごとに支部を配置させていつでも出動できるようにさせている。
隊員は部隊、もしくは個人でそれぞれランクを持っており【S,A,B,C】の4つの階級に分かれてあり、陰鬼の討伐に必須する条件を満たす事で昇格試験に受けられ、合格する事で昇格する。
現在所属している隊員は全国に30万人以上もいる。
S級…【部隊】精鋭部隊【個人】英雄レベルの隊員 全国20人
A級…【部隊】強力部隊【個人】エリート隊員 全国約3割
B級…【部隊】有力部隊【個人】かけだし隊員 全国約5割
C級…訓練生 全国約2割
【
異界の門と共に現れたエネルギー。
未だ解明されていない異界の門から出るそのエネルギーは人に力を与え、陰鬼と戦う術を身に付ける力として2000年経った今でも存在している。
使用者によっては全身の肉体に流す事で身体能力の強化が使えたりする。
【
魂と霊力が反応しあって発現する武器。
自分の魂が武器に具現化し、主な種類は「刀剣・槍・斧・弓・手甲・銃」の6種類と、それ以外で分類しない「特殊魂装」に分かれている。
武器自体が壊れても命に影響はなく、魂が強くなればなる程に魂装は成長する。
【
魂と霊力が反応しあって発現する潜在能力。
魂装よりも発現する可能性は低く、発現したものによっては恐ろしい能力が開花する事もある。
人によっては開花しない者もいれば、遺伝で親と同じ固有霊力を持つ可能性もあり、開花する条件などはまだ明らかになっていない。
【
魂装とは違い“人工的”に作られた陰鬼を倒す武器。
素材は主に陰鬼の爪や角などが使われており、一部の陰鬼ではその性質を持った霊装が作られる事がある。
討伐した者が素材を使用するのに優先されるが、余った素材はそのまま別の人に使われたりしたいるため、ほとんど残っていない。
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