【1段階 - 5,6】こんなおもい(恐怖心)は初めて〜♪
この日も2時限連続で教習を受けたのだが、どちらとも『スラローム』という課題をメインに練習を行った。
教官が言うには、このスラロームは教習の山場らしい。試験課題の中では唯一アクロバティックな科目で、並べられたパイロンをジグザグに避けつつ、できるだけ速いタイム(普通二輪は8秒以下)を記録する必要がある。
ネットで動画を漁ればお手本のようなものが山ほど出てくるが、それを観たらきっと驚愕するだろう。
いやいやこんなんできる訳無いやろ、と。
しかし中型以上のバイク乗りは誰しもが通る道であり、コツさえ押さえればできるようなので、いつも通り教官の言う事を素直に聞いて実践してみる。ちなみに125cc以下の小型二輪免許にはスラロームの試験課題は無い。
まずはバイクを傾けて曲がる――バンクさせる事に慣れるため、8の字状に引かれた白線を辿りながら練習する。
傾け方もいくつかあるらしく、傾く方向に自分の体重を預けるリーンウィズは定番で初心者でも扱いやすいとか。また、より小回りを効かせたい時は車体と逆方向に体重をかけるリーンアウトという手法もあるらしい。これらを使いこなせる日が来るのか分からないが、将来のバイク乗りとして言葉だけは覚えておきたいと思う。
8の字に走る練習では、最初こそ曲がりきれず大回りになったものの、教官のアドバイスを受けて段々と小回りができるようになった。
が。
ブォォォォン!!
曲がり終えた所で必要以上にアクセルを回してしまい急発進。練習エリアから大きくはみ出してしまった。これはもうあれだよね。脳内では某競馬擬人化ゲームの曲が流れるヤツだよね。「きみの愛馬(CB400SF)が、ずきゅんどきゅん走り出しー♪」なんつって。
ただ、実際はそんな余裕は当然無いわけで。意図せず加速したから、そりゃもう怖いったらありゃしない。今日の相棒になったスーフォア君はちょっと血気盛んな子かな? と思ったけど。
教官には原因が丸分かりだったらしい。
緊張で肩に力が入り過ぎていたようだ。なるほど、納得。バイクを傾ける時も上半身ではなく、下半身で傾けるように意識したら自然と肩の力が抜けて綺麗に曲がれるようになった。
そしていよいよ本題のスラロームへ。
ギアは2速でアクセルは使わず惰性で進入。パイロンを倒さないようにゆっくり走って……なんとか成功。しかし目標タイムの8秒は軽々とオーバー。クリアするにはアクセルを回すのが必須のようだが、調整を誤ると走行ラインが乱れてパイロン激突→検定中止となるので一時の油断もできない課題と言える。
コツは曲がった時にアクセルを加えて傾いた車体を起こす――らしいのだが、頭で理解しても実践するのは難しい。また私の愛馬(CB400SF)がずきゅんどきゅん走り出しても困るし。
それでも試さなければ上達はしないので軽く吹かしながら要領だけは掴んでおいた。私、慎重な性格なのでタイムを競う系の奴は苦手なのよね。パイロンは一度も倒さなかったけれど、代わりに速度は出ないのだ。
しかし、検定ではタイムオーバーは減点されるだけなので、パイロン倒して全てを水の泡にするなら確実にコースをクリアする方が良い。無茶は禁物。
教習の後半では今までに習った課題を順にこなしていくコース走行を行った。教官の後に続き坂道発進やら一本橋をクリアしていくが、ここで新競技が登場。地味に放置されていたS字とクランクである。
自動車教習ではお馴染みのアレだが、難易度で言えばバイクの方がかなり難しいようで、特にクランクは鬼門のようだ。
まあでもやらなきゃ分からんでしょ、って事で早速チャレンジ。
S字は難なく成功。しかし事件(事故?)はクランクで発生した……!
この時間では私ともう一人の子と一緒に教習を受けており、先にクランクに進入した子が途中でパイロンに接触し転倒。すぐ後に続いていた私は急停車を余儀なくされ、バランスを崩しあえなく転倒。
狭いクランクに堂々と横たわる2台のバイク。Oh……大☆惨☆事(キラッ
――なんてふざけてる暇は無く、先導する教官が「あくしろよ」と無言の圧をかけながら見つめてくるので、さっさと引き起こして走行を再開する。
それぞれの課題はなんとか成功した。しかし余裕が無い上に転倒する頻度は依然として高い。
何故なら、私は課題よりもノロノロ低速してからの停止が苦手だからだ!(威張るな)
いやね、ふらついた時にのしかかる重さが半端ないのですよ。スーフォア君重すぎ。もう少しダイエットしてくれ。
結局、この時間では計3回転び、都度引き起こしたお陰で腕と脚はパンパン。こんなに身体を痛めつけられたのは中学時代に遭ったいじめの時以来かもしれない(笑)
教習が終わって帰り支度をしている時、今日の2時間を共に走り、共にコケた男性(同い年くらい?)に声を掛けてみた。
「コース難しいですよね〜」
「分かります。道も間違えそうになるし……」
「私も全然余裕無いですよ」
「公道なんて走れる気がしません……w」
他の皆は上手なのに私だけめっきりダメじゃん……なんて思ってたけど、話してみると同じように焦りを感じる人もいるのだと分かった。
そりゃそうだよね。たかが数時間乗っただけで完璧な運転はできないもん。もっと沢山練習して腕を磨かなくちゃ!
――と、思いたかったのだが。
第1段階の残りはシミュレーター教習とAT車の体験、そして課題の出来具合をチェックするみきわめの3コマしか無い。
つまり……もう練習時間はゼロになってしまったのだ!
次回、きり抹茶死す! お楽しみに!
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