第十七話 宝物庫にはお宝がいっぱい!

 五日後、俺は再び王都に来た。

 既に実家のような安心感を感じるエルフの里では、剣術修行をしたり、ノアと魔法で遊んだり、クリスとベッドで遊んだり――

 おっと口が滑ってしまった。あと、最後のは遊んだというより襲われたと言った方がいい気がする。


 それはさておき、俺は今後の話を聞くために、王城に入った。王城に入ると、優し気な老執事が出迎えてくれた。その後、俺は老執事の案内で、会議室に向かった。

 会議室には、部屋の中央に円形のテーブルが置かれており、そのテーブルの周りに十個の椅子が置かれていた。そして、そこには既に俺以外の勇者パーティーのメンバーが集まっていた。


(また最後かよ……)


 ちゃんと十分前行動をしているんだけどなぁ……と思いながら、俺は椅子に座った。


(……やっぱりちょっと気まずいな……)


 俺のことをチラチラッと見てくるシャノンの視線が結構つらい。敵意は感じないのに、何故かつらい。

 あと、フェリル様からの視線も感じる。あれ? 俺何かしたっけ?

 そんなことを思っていると、会議室の扉が開き、国王、宰相、騎士団長、宮廷魔法師長の四人が入ってきて、椅子に座った。


「みんな揃ったな。これから色々と大事な話をする。これから話すことは、各国の上層部にしか伝わっていない話になる。よって、口外はしないでいただきたい」


「「「「「「分かりました」」」」」」


 俺達は国王の言葉に頭を下げた。


「では、頼んだ」


「承知しました」


 話しは宰相のドレスト様がしてくれるようだ。


「まず、勇者を召喚する日が決まりました。勇者は二十日後の午前十時に召喚します。その際に、みなさんにも協力してほしいのです。具体的には、勇者召喚の宝玉に魔力を込めることです」


 あと二十日で異世界から勇者が召喚されるそうだ。出来れば、俺と同じ日本人にして欲しいものだ。


「次に、魔王についてです。魔王が復活するとされている魔大陸の海岸付近にまで、高ランクの魔物が姿を現すようになったと報告がありました。さらに、魔大陸に近い地域でも、魔物の増加などの変化が起きているようです。予想では、あと半年で魔王が復活してしまいます」


 魔王の復活には、まだ余裕がありそうだ。半年あれば、パーティーとしての強さもかなりのものになるだろう。


(てか、魔大陸の場所ってどこなんだ?)


 何気に俺は魔大陸がどこにあるのかを知らない。この大陸の地図を見せてもらったことがあるのだが、その地図には魔大陸は乗っていなかった。聞ける時があったら聞いてみるとしよう。


「最後に、皆さんには宝物庫にある装備をお貸しします。これで、私からの話は以上です、何か質問はございませんか?」

 質問してもいいらしいので、ここは遠慮なく質問させてもらうとしよう。


「俺から一つ質問があります。魔大陸はどこにあるのでしょうか?」


 俺は右手を上げると、ドレストさんにそう質問した。


「そうですね。魔大陸は王都から馬車で十五日、船で六時間の場所にある小さな大陸です。経路は、王都からティリアンへ行き、そこからいくつかの村を通って、南に行き、海に出る。そして、船に乗ることで行くことが出来ます」


「なるほど……ありがとうございます」


 魔大陸がどの辺にあるのかが何となく分かった。


「他に質問は……なさそうですね。それでは宝物庫に行きましょう」


「ああ。ここからは私とカインが案内する。ついて来てくれ」


 その言葉で俺たちは立ち上がると、ゼウルさんとカインさんの後に続いて、会議室の外に出た。





 暫く歩いたところで見えてきたのは、一つの白い扉だった。そして、その扉の両脇には、二人の騎士がいた。


「少し待っててくれ」


 ゼウルさんはそう言うと、懐からカードを取り出した。そして、そのカードを扉にかざしてから、その扉を開いた。


「……凄いな」


 宝物庫の中には、一目見ただけで国宝級だと分かるしながずらりと並んでいた。

 そして、宝物庫の奥には、白金に輝く剣と防具が飾られていた。


「一番奥にある勇者の装備以外なら、どれを取っても構わない。ただ、必要なものだけを取ってくれ」


「「「「「「分かりました」」」」」」


 俺達は頷くと、宝物庫の中に入った。


「う~ん……剣は俺が持ってるやつのほうが上。防具は動きにくいから着たくない……じゃあ、靴と服にするか」


 俺の動きについてこられなくなっている為、ここで変えとかないと結構マズい。

 そう思った俺は、みんながきらびやかで高級そうな剣や鎧に目を輝かせているのを横目に、宝物庫の隅で靴や服を選んでいた。


「〈鑑定〉!」


 ー--------------

 名前 金龍服

 金を混ぜ込んだブラックスパイダーの糸で織られた服。一流の職人によって、龍の柄が編み込まれてある。耐久力は並以上。

 ー--------------


「これはダメだな。見た目もそうだが、性能も」


 俺は宝物庫にある服と靴に〈鑑定〉を片っ端からかけて、欲しいものを探していた。生物以外に〈鑑定〉を使うのは、回復草ぶりだと思う。

 そして、色々あって二時間もかかってしまったが、何とか決めることが出来た。


 ー--------------

 名前 黒龍の靴

 ブラックドラゴンの鱗を素材にして、一流の職人が作った靴。耐久力はかなり高い。

 ー--------------


 ー--------------

 名前 黒龍の外套

 ブラックドラゴンの鱗を素材にして、一流の職人が作った外套。耐久力はかなり高い。

 ー--------------


 ー--------------

 名前 白龍の服

 クリスタルドラゴンの鱗を素材にして、一流の職人が作った服。耐久力はかなり高い。

 ー--------------


「うん。いい感じだな」


 俺は選んだものをアイテムボックスにしまいながら、満足気に頷いた。


「よし。みんな選び終わったな。では、門まで送るとしよう。ついて来てくれ」


 こうして装備が整った俺達は、王城の外へ出た。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る