第34話 招待状

 家に帰って3日後、キャンプ場から封書が届いた。

 隠しゲームの獲得コインで、予想はしていたが、やっぱり俺が月間MVPだったのだ!


 中には系列のキャンプ場で使える無料券と、1週間後に開かれる新作ゲーム発表会の招待券が入っている。


 それともう一枚、手書きの手紙が入っている。


 『お会いできるのを楽しみにしています。


  懸琉 伍輝』


「カケ、ル…イツ、キ!

 “カケルくん”だ!」


 俺は飛び上がるほどびっくりした!


 俺は落ち込んでた気分が一気に上がる!


 早速アユタと佑を呼び出して、キャンプ場から届いた一式を見せる。

 

 一文だけの、カケルくんからの手紙を見て、アユタが一瞬驚いて怪訝けげんそうな顔をした気がした。


 アユタ:「オレのところにも招待券届いたんだ。キャンプの無料券は入ってなかったけど。

 『MVPではございませんでしたが、もしよろしければ新作ゲームの発表会へ是非お越しください。』

 っていう手紙付きで。」


 佑:「オレもアユタと同じだ。

 大聖みたいなこんな直筆の手紙じゃないよ。」


 アユタ:「もう怒ってないんじゃないか?」


 俺:「そうだよね!オレも、わざわざ手書きで手紙くれるんだから、そうかな?って思った!」

 俺は満面の笑みで話す。


 佑:「どうする?1週間後って急だけど、皆行く?」


 俺:「オレはもちろん行く!」

 アユタ:「オレも。そのためにゲームやったってのもあるからな。」

 佑:「オレも行くよ!どんなのか楽しみだね!」


 俺:「オレ達3人共呼ばれたってことは、もしかして隠しゲームの発表なんじゃない?」

 佑:「それだと、嬉しいような、ちょっとガッカリなような…。」

 アユタ:「なんで?」

 佑:「だってさ、もう体験しちゃったじゃん。どうせなら、全然知らないやつの方が良くない?」

 俺:「オレは逆だな。なんか、オレだけ知ってますよ、みたいな。」

 アユタ:「それはちょっと分かる。」


 俺達はファストフード店で盛り上がり、ちょっと他の人に迷惑そうな顔をされてしまった。すみません。


 一週間後、招待状に書いてある会場で待ち合わせ、中に入る。

 中に入ると、プレスの人や関係者っぽい人ばかりで、俺達のような一般人はほとんどいなさそうだ。


 最初から“一般人は入れない”とは言ってたけど、やっぱり場違いな気がして気後れする。


 大丈夫かな?と3人でコソコソと話しながら会場前の受付まで行く。


 受付の人は、とても綺麗なお姉さんだ。俺達はつい見惚れてしまって、違う緊張感も出てくる。


 「いらっしゃいませ。招待状はお持ちでしょうか?」

 

 俺達は持ってきた招待状を渡す。


 「ありがとうございます。

 本宮もとみや 大聖たいせい様、間中まなか アユタ様、戸茂手ともで たすく様でいらっしゃいますね。

 お待ちしておりました。お席までご案内いたします。」

 俺達は綺麗なお姉さんさんについて、会場の前から5番目の例の真ん中の席に案内される。


 俺達は1番後ろの隅っこの場所で、なんなら立ち見席ぐらいに思っていたので、こんな真ん中の席は誰かと間違えられてるんじゃないかと思った。


 お姉さんに確認するが、間違いなくこの席だと言う。


 「入り口の方にはお飲み物などございますので、ご自由にご利用くださいませ。」

 と言ってお姉さんは受付へ戻った。


 飲みたいのはやまやまだが、場の雰囲気にのまれて、お手洗いに行くので精一杯だ。

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