第32話 隠しゲームの結果
俺は受付の人にさらに話を聞く。
俺:「オレ達、隠しゲームをしたんです。オレだけが残って、ファイナルステージに行ったら、小学生のカケルくんが出てきたんです。あれはどういう…?」
受付:「隠しゲーム?ああ、今日のは確か…中級Bコースのところの?」
俺:「はい、そうなんです。」
受付:「あ、隠しゲームの後なので、一旦ここに戻って来たってことですね。
ごめんなさい、そのゲーム、中身は私よく知らないんですよ。
ここのオリエンテーリングゲームを開発した会社で、その時々の開発中のゲームをサービスも兼ねて試してもらうように、たまに仕込んであるんですけど、日によって内容が違うし、中には企業秘密とかで教えてもらえないのもあるんですよね。
私はここのただの受付で、その会社の人間ではないので。
ただ、そのゲームで獲得したコインやアイテムも計算に入れるように言われてるので、結果だけ見れたら大丈夫ですよ!」
俺:「そうなんですね、分かりました。
そうだ、ここで借りた端末の充電が、急激に減ってゼロになって消えたんです。
おかげでここまで戻ってくるの大変でした。」
受付:「あー、それは大変申し訳ありませんでした。壊れちゃったんですかね?
充電し直して、中身確認できるといいんですが…。ちょっとやってみます。」
俺はすごく大変な思いをしたのに、軽く謝られただけの責任感の薄い対応に正直少しイラッとしたが、深呼吸して気持ちを切り替える。
アユタ:「“カケルくん”て、誰?」
俺:「えっと、小学校の同級生で…。」
と話しようとしていたところで、受付の人が話かけてくる。
受付:「隠しゲームに参加されたので、誓約書とアンケートにご協力ください。
今回はすごいですよ!これ記入していただいたら、QUOカードをなんと1人5千円分ずつプレゼントします!
いつもはジュース1本か、良くて500円分のQUOカードなので、超特別です!
ちなみに、このQUOカードは隠しゲームの景品というかお礼も兼ねてますので、ご了承くださいね。」
俺:「詳しくは後で話すね。」
と言って誓約書とアンケートを書き込む。
誓約書は、“未発表のゲームなので、内緒にしてください”というものだが、事後承諾の誓約書ねぇ…とは思った。まあ、これを書く書かないは本人の自由で、事後承諾なのは先入観なしにゲームを体験して、そのデータと感想が欲しかったからとのことだが。
とはいえ、5千円はデカい。しかも超特別。
俺達は素直に記入する。
QUOカードをもらった時は、ゲームクリアできなくて最大10万円のポイントを逃したことを思い出し、逆にすごく悔しくなった。
他の2人も同じ気持ちのようだ。
受付:「データは大丈夫ですよ。端末は壊れてないようですが、電池の消耗かもしれないので、ゲーム会社に点検してもらいますね。本当にすみませんでした。」
俺はさっきはイラッとしたけど、もう一度謝ってもらったのと、QUOカードもらったので、気持ちはスッキリした。
受付:「では、中級コースはまた途中なので、隠しゲームだけのゲームポイントの算定しますね。総合評価に反映しますので。」
受付の人は端末とアユタと佑の携帯のデータを確認して、ゲームポイントを算定する。
受付:「じゃあ発表します。
ヒジリさん74,150コイン、アピュタさん71,650コイン、タスクさん70,850コインです。
皆さんすごいですね!
セミファイナルまで行って、あともう少しでクリアだったんですね、惜しかったですね!
でも、今回のゲームはすごく高コインの獲得なので、すごいゲームだったんでしょうね?楽しかったですか?」
アユタ:「はい、今までやったことないゲームで面白かったです。」
佑:「クリアできなかったので悔しいですけど。」
アユタ:「もう一回、リベンジってできたりします?」
受付:「あー、残念ながら無理ですね。さっき帰った人が、隠しゲームのQR回収してったはずです。」
佑:「残念!」
俺だけはゲームの内容については、微妙な気持ちだったので感想を言う気持ちになれず、他の人の会話をただ黙って聞いた。
受付:「どうしますか?今から中級コースの6番目のポストから再開しますか?
6番目のポストのQRコードを読み込んだらリスタートで、続きからスタートします。」
俺:「そういえば、俺のデータってどうなるんですか?」
受付:「アプリ内に残ってるので、いつでもどの端末からでもできますよ。」
俺はその点は安心した。
でも、かなりヘトヘトに疲れてるのと、すごくお腹が空いているので、また後でということにした。
受付:「またいつでも来てください。シーズン中ならいつでも大丈夫だし、今日でもいいですし。あ、今日来られなくても別に連絡とかしなくていいですよ。」
俺達はお礼を言って、キャンプ場を後にした。
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