第21話さっそく初仕事?
【さっそく初仕事?】
俺の部屋で
「2日連続かー」
「それもいいんじゃない?日曜は皆が喜んでくれるし、陽ちゃんも、すっごい期待しているみたいだし」
「マジックバッグはお預けかー」
「うん、かっくんがいてくれるから助かるな~」
「まあな・・・・・・」
「日曜か~、まあ俺たちDクラスは最低ランクだから、さゆりさんとゆうが一緒だと、すごい勉強になるみたいなんだ」
「私も?」
「ああ」
「そうね、きっと探求高校のAクラスでも経験できないよね」
「この世界にLv97とLv94なんていないもんなー、なあ、どこまでも潜る予定か聞いてる?」
「うん、一応今までのおさらいがメインだって、それぞれのパーティー単独で潜れるように って、それでもし時間があれば10階層より下に行くかもしれないって」
「そっか、そうだよな、それぞれのパーティーだけで潜れるようにならないとな」
「うん」
///////////////////
――ちょっと遡って金曜日の学校
学校は相変わらず、演習と実習主体の毎日、普通の高校の授業があって、ダンジョンの関する講義、そして、演習と実習。
演習と実習は全員で格闘術、剣術の基礎実習を行ったり、それぞれのジョブ別に現役探求者が講師としてやってきて、その動きや特徴を実践する。
それから自主演習。
自主演習は各パーティー単位でフォーメーションや連携の練習をしたり各自自由に行っている。
俺達のパーティは、さゆりさんという超模範探求者といっしょにダンジョンに入っているから、その時のさゆりさんの説明を思い出しながら、パーティーメンバーだけでダンジョンに入った時を想定して練習している。
「また日曜、皆でダンジョンに入るんだよね」
「ああ、今度もこの前と同じメンバーで、1階層からおさらいだってさゆりさんが言ってた」
「うん、でもほんと高谷君には感謝だよ、あんなすごい探求者と知り合いでおまけに皆を連れてダンジョンに入ってくれるんだもの」
「まあね、さゆりさんには俺も感謝してるんだ、俺もアサシンとして色々教えてもらっているからね」
「でも、高谷君もすごいけど、友達の祐子さんだっけ、あの人もすごいよね」
「ああ、ゆうはすごいよ」
「ううん、10階層とか、さゆりさんと3人の連携プレイでボスをやっつけちゃうんだもの」
「いや、あれはほとんどさゆりさんとゆうがやっつけたし、俺はほんのお手伝い程度だよ」
「でも、私たちのパーティーの時も高谷君がああやって斥候?みたにモンスターを発見して、キズ付けて弱らせてくれると、私達もほんとに助かる」
実際の俺達はというと、アサシンの俺より前に出て戦ってるプリースト? ウィザードが弓で矢を打ちまくって、アサシンが後衛、サポートで荷物持ち・・・
ありえないよね。なんて思いながらも
「いや、そんな事ないよ」
「ううん、だって私達が気づかないうちに、遠くのモンスターに気づいて、すごい速さでモンスターを傷つけるんだよ、私達が戦う頃は結構弱っているから、すっごく倒しやすいんだもの」
「それがアサシンの役割だからね」
「そっか、じゃあ高谷君が同じパーティーに入ってくれて大正解なのかな?」
「そう?」
「うん、だってね、他のパーティーの話を聞くとね、アサシンがいないパーティーは、急に目の前にモンスターが現れたりするらしいし、モンスターも全然弱ってないから、倒すのが大変なんだって」
「そっか、そう言ってくれると嬉しいよ、俺なんかを誘ってくれて、本当はアサシンよりもナイト―剣士とかの方が良かったんじゃないかって思ってたんだ」
「ううん、だって伊達君がいてくれれば、しっかり盾で守って、大剣で倒してくれるじゃない、私のレベルが上がれば、盾まで来る前に弓で倒しちゃえばいいんだもん」
「そう言ってくれるとうれしいよ」
「うん、だから祐子さんみたいに、簡単にやっつけられるようがんばんなきゃ」
「まあそれは訓練して、レベルが上がればできるようになるんじゃないかな」
「うん」
大谷さん達から聞いたDクラス情報について生徒の名前は覚えられなかったけど、俺達は結構いい線いってるみたい。
ただAクラスBクラスの情報はあまりなくって、CクラスはDクラスを見下しているというか、おそらく意識していると思うんだけど、Dクラスに対し異常な程に情報を隠しているらしい事がわかった。
まあ、今のところ1年は皆、豊島ダンジョンしか潜っていないから、その気になればすぐにわかる事。
俺達ができる事はレベルを上げるためひたすら訓練するしかない。
楠さんは、プリーストの練習以外にも、格闘術と短剣術を講師に教えてもらいながら一生懸命訓練している。
「大谷さん、大谷さんも格闘術と短剣術を練習してほしいんだ。もし俺達が倒し漏れした時、俺や伊達君が駆けつけるまでの間、大谷さんと楠さんは自分で自分を守らなきゃいけないんだ、だから大谷さんもお願い」
「うん、そうだね、わかった」
「うん、全員が無傷で生き残る事が最優先だからね」
「うん」
自主演習は各自自由で、好きな時間に終わっても良い
終業のチャイム前に教室に戻るパーティーもいるし、放課後も続けて練習しているパーティーもいる。
俺達は、終業のチャイムが鳴ったら、一旦練習を終え、それから4人でミーティング、その後は各自自由行動としている。
全員着替えて教室に戻り、ミーティングを始める。
それぞれ各自の練習の成果、これからの課題、クラスの情報、他のパーティーの情報など。
土曜の授業が終わって、大谷さん達が俺の処にやってくる
いつものように
「ごめん、俺、用事があるから帰るね」
「うん、さゆりさんでしょ?」
「うん、明後日の打ち合わせもあるしね」
「うん、明後日、楽しみだね」
「だから、きょうの訓練はほどほどにして、明後日の準備をしていてね、それと、夏休み中の訓練について、さゆりさんとゆうにお願いしてみるから」
「ほんと? ありがとう」
「じゃあ、明後日」
「じゃあ、明後日」
そう言って、学校から速攻で帰り土曜準備。
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――豊島の日曜はちょっと早い
日曜日、いつもの10人で豊島ダンジョンに
今回は2回目ということもあって、各階層の様子を1度見ているから、この前より皆真剣なまなざし。
特に、さゆりさんから、目的はそれそれ単独パーティーで10階層まで行けるようになる事、と言われたので、それぞれ、頭の中でどう戦うかをシミュレーションしながらさゆりさんの後をついて行く。
前回は観光気分でさゆりさんのすごさとゆうのすごさを実感した皆は、今回はとてもためになったらしく、1階層に戻ってダンジョンの出口から外に出ると、とてもすっきりした顔になっていた。
これからの訓練にすごい参考になったとさゆりさんとゆうに感謝して、また次もお願いしますと言ってそこで解散、俺達3人と陽はいつも通り、俺の家に。
陽は竹刀から木刀に変えて練習するとか言って、買ったばかりの木刀に鉛を付けて針金を巻いて重さを調整していた。
完全にさゆりさんを崇拝している。
月曜からいつもの訓練とダンジョン
/////////////////
―—次の週
須藤さんに協会本部に呼び出された3人は、学校が終わってさゆりさんと虎ノ門で待ち合わせ、いつもの応接室に、
「さゆりさん、お願いします」
「ああ、大丈夫だ」
「はい」
5分ほどたって、須藤さんが部屋に
本人はにっこり笑ったつもりなんだろうけど
おじさんのそれは、いやらしい笑いにしか見えないんだよ
「やあ、君達に仕事の依頼だ」
「はい、どのような?」
「今回は簡単な依頼だ、豊島ダンジョンの20~30階層に潜ってもらいたいんだ」
「豊島ですか」
「ああ、冒険者たちは30階層を制覇すると、豊洲に行ってしまうし、豊島に潜っている冒険者のほとんどがレベル20未満なんだ、だから20~30階層の素材が不足ぎみでね」
「そういう事ですね、わかりました。でも1回で20~30は難しいですよ」
「そうだな、マジックバッグがない以上、高谷君が荷物持ちなんだろう?」
「はい」
「いつものように、1度潜ってリュックいっぱいになったら、その日は終わりで構わないよ、ただ、それを30階層まで続けてほしいんだ」
「まあ、そういう事でしたら」
「本当は、豊洲ダンジョンの31階層以上に潜りたいんだろうけどな」
「まあ、それは装備が完全に揃ったからじゃないと」
「そうだな、豊洲の深層部と川越はまだ要検討か」
「はい」
「装備については、〇をつけたものは用意できたけど、△は君達の素材集め、×は宝箱に頼るしかないから、そこのところは本当に申し訳ないと思っている」
「まあ、それはしょうがないですね」
「すまないが、さっそく今度の日曜からお願いできるかな」
「はい」
「買取所にはこちらから連絡しておくから」
「ありがとうございます」
「いや、こちらの頼みだからそれくらいは何でもないよ」「それじゃあ」
「じゃあ、頼んだ」
「はい」
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