HENTAIMANS(ヘンタイマンズ)

高梨克則

第00話【プロローグ】

【プロローグ】

このプロローグは、かなり後半のネタバレになりますので、気になる方は読まないで飛ばす事をお勧めいたします。


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 今、俺達3人は川越ダンジョンの16階層入口にいる。


 本当なら、ようやくステータスに2つ名が表示された俺に合わせて、『レベル上げをしてあげる』と2人が言ってくれ、21階層に行くはずだったけど、2週間ほど前に16階層でボスモンスターを倒した時に出た魔石がとてもきれいだったので、最初は小さく加工してペンダントにして皆にプレゼントにしたい、と話をしたのだったけれど、売ったらどれくらいになるかなって思って、でも未到達階層(非公開)の魔石だから買取所に持っていくことができず、俺達が通っている大学院で魔石学を教えている魔石研究の第一人者として世界的に有名な教授に講義の後にこっそりそれを見せると、目をギンギンにさせながら鼻息荒くさっそく研究室にこもってその魔石の解析をしたらしい。


それがとんでもない魔石だったみたいで大騒ぎに。


 まわりまわって須藤さんの所にその話がきてしまい、須藤さんから『頼む』と言ってお願いされたので、3人で16階層に来ている。


 どうやらこの魔石は、現在の最新の魔石力潜水艦で使われている魔石の数十倍の能力がある事がわかった。


 これを使った魔石力潜水艦はおそらく世界水準でもぶっちぎりで最高峰の潜水艦になると予想され、完成すれば日本が世界中の海を独占的支配ができるとかで、教授が俺達に魔石について「誰が?」「どこから?」としつこく詰め寄ってきたので、苦し紛れに「先輩のHENTAIMANS」と答えたところ、国防省事務次官から探訪省管理局の須藤課長に直接依頼が来て、こうなってしまった。


 現在の川越ダンジョンの公式最高記録は10階層、勇者パーティー(俺達はこいつらがきらいだ)が報道でやたら自慢げに話していたものだから、俺達3人は素顔の方のパーティーではまずいと思い、『HENTAIMANS』と言ってしまいちょっと後悔していたが(どっちも俺達なんだけど)


「高谷、私達が目立つよりはいいんじゃないか?」

「そうよ、だって私たちの記録って川越の5階層って事になってるじゃない、それにHENTAIMANSが日本のトップになる方が気が楽よ、あいつらも何言って来るかわからないし?」

「確かに」

 俺達の素顔の方のパーティーが16階層クリアしたなんて知れたら勇者パーティーの連中は何を言って来るかわからないよな

「ああ、そうだぞ」「うん」

 俺がとっさに言った『HENTAIMANS』に後悔しているのに気付いた2人は、それが正当だと言ってくれホッとした。


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16階層の入り口。


 何度来ても思い出す、この世界に来る前、最後にゆうと2人でクリアした思い出深い階層。


 あれから4年半……なんて思っていると

「どうしたの?」

「いや、何度来てもこの階層は、その……」

「うん、私もおんなじだよ、クリアした次の日だものね」

「うん」

なんて2人で思い出話をしているけど、今はとにかくボスモンスターを倒して魔石の確保をしなければならない。

「かっくん、これ」そう言っていつものようにゆうが俺に白い袋を。

「ありがとう、あれ?後ろに蜜津微子重工のロゴ?」

「うん」

「ひょっとして?」

「そう、だってこの映像って日本の記録更新の記念映像になるから、日本中の冒険者だけじゃなくて、各省庁、各企業も見ると思うの」

「そっか」

「うん、皮咲重工や蜜微子重工とかがあの魔石力潜水艦や魔石力ヘリ空母とか魔石力発電所を作っているから、今回、この16階層の魔石のこと知って是非お願いします、って言ってきたの」

「ふ~ん、ねえ、ちなみに?」

「これだけで1人3000万、魔石が1個7000万だって、3個狩れるから、フフフ万」

これだけで1億円プレイヤー!!

「すっげ~」

「うん、そこらへんのCMとは訳が違うからね、だから後ろのロゴがいっぱい映るように動き回ってね」

「うんわかった」

おそらく、ゆうが数社と交渉して蜜微子重工になったのだろう、こういう交渉事にも長けている。


 俺がいつものように、この白い袋をかぶって、2人がマスク仮面を着ける、そして、ゆうが映像アーティファクトのピンバッチを付けたところで、

「ゆう、高谷、準備はいいか」

「「はい」」



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 俺達3人がどのようにしてHENTAIMANSになったか、そして活躍するようになってからの長いなが~いお話。


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