第21話 愛央とたっくんの空手稽古

あい「おしょとあめ降ってきた」

たく「あー、こらおいねぇな。んーじゃあ・・・」

あお「どうしたの?」

たく「ちょっときがえてくるわ」


たっくんはそう言って上に行っちゃった。ってことはまさか・・・。


せな「なにやるんだろう?」

あお「うちはわかった」

あい「あいたんも!」

せな「あかりんわかった?」

あか「わかんない」

たく「おまたせいたしました。ささ、どうぞ上へ」

せな「あの服、何?」

あお「空手だよ。武道の一つで、今日は練習日なの!」

あい「あい!」

あお「あいちゃんも見るよね」

あい「あいあい」


道場に行くと・・・そこにはうちのたっくんが既に待っていた。あの姿、やっぱりかっこいい。


あお「いた」

あか「なにここ・・・?」

せな「すごい、雰囲気違う」

あお「パパがこのビル作った時の道場だよ。たっくんは4歳からここで空手習ってて、12年経った今でもやってるの!あ、そうそう。ここでは素足だからね。靴下も脱がないといけないんだよ」

せな「えー」

あか「そうなんだ・・・」

たく「やっと来たか」

あい「たったー!」

たく「おぉ、あいちゃんまで来たんだ。そらそっか、あいちゃんたったーがいないとダメだもんねー」

あい「あいあい!」

あお「ねぇたっくん!うちもやる!」

たく「は!?」

あお「たまには武道もやらないとパパに怒られちゃう!」

たく「はいはい。せなあかがいいなら」

あか「いいよ」

せな「うん!」

たく「おっけ」


かっこいい。うちはただそう思ってた。瀬奈と明里はたっくんのことを応援してたんだけど、うちはあいちゃんと2人ですごいしかいえなかった。


あい「しゅごい」

あお「しゅごいね」

あい「あいたんのくちうつった」

あお「そうね。あいちゃんのが移っちゃった」

たく「やるか・・・」

あお「たっくん、フレフレ」

せな「愛央・・・」

たく「よし、愛央も来い!」

あお「うん!」


うちは10年ぶりに道着を着た。といっても、たっくんのお下がり。昔たっくんが着ていたものが愛央の体にぴったりで、ちょうどいいから。


あお「白帯でいい?」

たく「初心忘るべからず。久しぶりにやるんだから白帯でいいよ」

あお「うん!」

たく「どうする、組手やる?」

あお「最近チアやりすぎて組手やってないから型やりたい」

たく「おっけ、んなやろか」

あお「基本からやろうよ」

たく「せやね」


瀬奈にあいちゃんを渡して、たっくんと2人で10年ぶりの基本稽古をした。うちの体がまだ覚えててよかった。そう思いながらやったの。


あい「たーた、あーあ!」

あお「なぁに?」

たく「あにしたぁ?」

あい「きゅぴ〜!!」

たく「わわわ、どうしたの」

あお「かっこよかったのかな?」

たく「だれが?」

あお「たっくんが」


たっくんにそう伝えるとあたしはぎゅーってしちゃった。たっくんが好き、そう伝えたくて。

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