第11話 いつかはきっと
11月のある日、いつものように、あたしはポンポンを振ってたっくんの応援をしていた。でも今日はなにかたっくんの様子がおかしかった。ポンポンのテープはひらりと輝いてるのに、たっくんの輝きは徐々に無くなっていたの。
あお「フレフレたっくん!がんばれ♡」
たく「はぁ・・・」
あお「・・・ねぇたっくん」
たく「なに」
あお「だいじょうぶ?」
たく「いや・・・俺なんか疲れてるのかなって」
あお「うーん?どうなんだろう」
たく「だって普通なら愛央が応援したらおらぁ元気になるべ?」
あお「たしかに。こんなに天気も良くて、ポンポンもきらきら輝いてるのに、たっくんは珍しく元気じゃない・・・」
うちはそう言ったあとに赤色のポンポンを床に置いて、たっくんの横に座った。あいちゃんも異変に気づいて、近くに寄って甘えてきたの!
あお「何かあったの?話して」
たく「いや別に大したことじゃないんだけどね?」
あい「たーったー」
たく「あいちゃんまで来たか・・・」
あお「2人とも不安なの。教えて」
たく「なんかな、うつ病なんじゃねぇかって」
あお「うそ?ま?」
たく「このまえ先生に言われた」
あお「えっ・・・」
たく「んで明日医者行く」
あい「きゅぴ・・・」
あお「・・・ついていこっ」
あい「あい?」
たく「は?」
あお「たっくんについてく」
あい「あい」
そう言って、うちは着替えてからたっくんにぎゅーした。たっくんもわかってくれたらしくて、いつも行ってる病院に行き始めた。
あお「ポンポンが付いたゴムつけてみたの」
たく「あんたらしくて可愛いやん」
あお「でも愛央、今日はチアリーダーじゃないからね。あくまでたっくんの妹だから」
たく「だろーな」
病院に着くともう早い。今日はたっくんを昔から見てくれてる先生がいたからすぐ案内された。
先生「どしたの。今日は」
たく「うつ病なのかなと思って検査きました」
先生「あら。んじゃ早速やりましょか」
30分後、先生から診断が降りた。
あお「結果は・・・どうですか?」
先生「うん。これ、うつ病だね」
たく「やっぱり」
あお「どうしたらいいんですか?」
先生「とりあえず、休もっか」
あお「学校も?」
先生「うん」
たく「単位・・・」
あお「あっ・・・」
たく「進級できない・・・」
先生「俺から掛け合っておくよ」
あお「いいんですか!?」
先生「匠くんはちょっと頑張りすぎだからね。診断結果については私から報告しておく」
たく「なんか申し訳ない・・・」
あお「うん・・・」
家に帰ってくると、あいちゃんがぐずり始めた。やっぱりあいちゃん、すごい心配だったんだね・・・。
あい「きゅぴ・・・!ひっく・・・ひっく・・・」
あお「あいちゃん!(´。>ω<)ぎゅ〜っ」
あい「きゅぴ・・・!」
昭仁「うつ?」
たく「うつ」
昭仁「孤独にさせてたのかな」
たく「わかんない。だけどなんか、強い悲しみに襲われたりしてた」
昭仁「匠は発達があるからそれで孤独とか強い悲しみに襲われてたのかな。俺明日から休むから、たまにゃ男2人でどっか行くか?」
たく「んなもんで治療にゃならんけど、別にいいよ」
翌日、たっくんは顔色が悪い中朝から空手の練習場にいた。愛央はメイクをした後に赤色のポンポンを持って下に行くと、そこには1人で練習していたたっくんの姿があった。
あお「たーっくん」
たく「・・・」
あお「おにーちゃん♡ずっと1人でどうしたの?」
たく「ずっとメンタルを鍛えてた」
あお「今は休んで。愛央も一緒についてるから」
たく「いいよ。もうそろ大会だから」
たっくんはそう言ってずっと練習をしていた。うちは椅子に座ってポンポンを握りしめ、たっくんが大会で勝てるように祈ってた。
3分後、愛央の顔が冷たく感じた。目を開けると、たっくんが横にいたの!!
あお「ひゃあ!」
たく「なーにしてたんだ。もしかして大会で勝てますようにって祈ってたんとちゃうか?」
あお「うん・・・だってたっくん、うつ病でしょ?」
たく「休まなきゃいけないのはわかってるんだわな。だけどな、あんたが泣きだしたら俺はあんたを助けなおいねぇの。うつ病なんかうっちゃって。やからそのために俺は空手をやるわけ。どうしたら愛央を泣かせずに守れるかって」
あお「たっくん・・・」
たく「なに?」
あお「(´。>ω<)ぎゅ〜っ♡♡♡」
たっくんのことをずっと好きって言ってきた私は、初めてたっくんに本気で抱きついちゃった。
あお「たっくん!!大好き!!」
たく「恋に落ちたかさては」
あお「たっくんがこんなに考えてくれてるなんて・・・!ぐすっ・・・」
たく「泣かんくてええって」
あお「ぐすっ・・・たっくん・・・」
たく「一旦部屋けえろっか。ここじゃ寒いし。今は俺暑いけど、じきに体冷えるしな」
あお「うん」
たっくんと一緒に部屋へ帰ってくると、まだあいちゃんはぐっすりベッドの上で寝ていた。そんなたっくんは部屋の奥に置いてあった段ボールを持ってきて、台パンでその段ボールを開けたの!
たく「ほい、愛央へのプレゼント」
あお「ありがとう!」
たく「さてと、はぁ・・・」
あお「ぎゅー」
たく「どないした」
あお「だいすき。うち、たくみがだいすき」
たく「馬鹿野郎。名前で呼ぶなって」
あお「たまにはいいでしょ。今日は2人で過ごそうね」
たく「あと4時間で日付変わりますけど」
あお「いいよもう。2人だけの特別な時間も、いつかはきっとくるはずだから」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます