舐めた代償

「すみません、少し良いでしょうか!?」


 僕が手を上げると、ディールは汚いものを見る。

 王国騎士団にとって盗賊や冒険者は侮蔑の対象となっていることが多い。

 例外はいるが、大抵は冒険者をゴミのように見ていることが多い。


「なんだ? 雇われの身で何か用か?」

「はい、私はキール・レインです……私が討伐しても報酬がもらえるのでしょうか!?」


 そう言うと、彼は不敵な笑みを浮かべる。 


「あぁ、君は冒険者かい?」


 ここでYESと答えると素性を調べ、僕の登録者情報がないことがバレてしまう可能性があるだろう。


「いえ、もう少し稼いでからいずれはと考えてます!!」


 冒険者は初期の頃は生活するのに精いっぱいな報酬しかない。

 なので、冒険者になる前に少し蓄えをしている者が多い。

 故にこの回答は妥当だと言えた。


「そうか、なら知り合いに王国騎士団がいる……奴を殺せば、王国騎士団に入れるよう取り計らって貰おう」


 あ~、そういう事ね。

 王国騎士団の倍率は一般で受かる事はまずないと言われている。

 理由は貴族枠や推薦枠などあるため、難壁と言われている。

 その推薦枠は不明な理由はこれだったのだ。


「ありがとうございます!!」


 王国騎士団……腐っているな。

 王国騎士団は国民を守る国の盾のはずなのに、人身売買などを行う盗賊たちの護衛を引き入れるとは……。


「会議は以上だ……今日は楽しんでくれ」


 そう言ってデミックは壇上から消えた。








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