対価

「どうして?」

「怪しすぎるし、何よりお前は大事な事を話してない」

「大事な事?」

「うん、代償」


 この言葉の主は利益ばっかり話して不利益を全く話していない。

 普通、何かを得るには何か対価がある。

 無償という場合は9割方ありえない。

 感情を持つものは何かしら心の中で下心があるのだ。


「あぁ、代償ね……」

「一番大事なことだろう?」


 代償が事によっては大切な奴らの命という場合もなくない。


「ないって言ってんじゃん」

「言わないのなら消えてくれ」

「まぁ、とりあえずこれ受け取ってよ」


 その言葉と同時に天井を突き破り、何かが降ってきて地面に突き刺さる。

 突き刺さったものは漆黒に染まった黒い剣だった。


「必要になったらこれを使うといい」

「だから僕は……」

「君は必ずこれを使う、仲間を守るために必ずこの力を使う」


 僕が言いかけた所で声は何かを発した。


「君の声を登録したよ、声を発すればいつでも使えるからさ、じゃあね~」

「何を勝手な!?」


 声は一方的にそう言うと、聞こえなくなる。

 消えたか……。

 目の前の剣を見つめる。


 漆黒の剣はまるで光を包み込むように反射せず、黒いままだった。

 せめて家の外にしてくれよ……。

 今、この黒い剣は机を真っ二つして突き刺さっていた。


 はぁ、また壊すなよ……。

 そう思っていると、漆黒の剣は消える。

 残ったのは剣で真っ二つにされた机と突き破られた天だ。


 この家、呪われてるのかな?

 僕はそう思いながらまた家を修理するのだった。

 


 










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