社長に言われたので、志を高く持ってみた

藍染 迅@「🍚🥢飯屋」コミカライズ進行中

第1話 入社式

「──という訳で、何事も初めの志が大切であります。前途ある皆さんには是非高い志を懐いてほしいものであります」


 ……長えよ。三十分も続いた社長の挨拶には死ぬ程ウンザリさせられた。ようやく解放された俺たち新入社員は、教育担当者に別室へ連れて行かれた。


「いいですか? 皆さんには新人研修として個人テーマにチャレンジしてもらいます」


 うわあ、面倒臭いやつだ。こういう課題ってろくなもんじゃないぞ。


「社長のお話、覚えていますね?」


 無理、無理。ほとんど忘れましたって。記憶に残る方がおかしいよ、あんな話。


「何でも結構です。社長のお話から感銘を受けたポイントを抜き出して、明日から一週間実行して下さい」


 どうしてそういう面倒臭いことを言うかなあ。時間の無駄だって。


「できれば目標を決めて、それを達成できると良いですね。一週間後の月曜日、課題に取り組んだ結果を報告してもらいます」


 ああ、嫌だ。週末がレポート書きで潰れちゃうじゃないか。もう。


「本日はこれにて解散と致します。個人テーマを何にするか、今晩良く考えるように」


 もう最悪だ。テンションが最低に落ち込んだ。


 悩んだ挙げ句俺は、最悪のテーマを課題に選んだ。

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