第12話「おかえりを言うために」


 使われていない線路の、使われていない踏切。ここは遮断機が降りたままの、開かずの踏切。


 ただし、ここが開くという噂がある。

 何も通らないはずの線路に一両の電車が通り、その後に遮断機が上がると、異界への道に変わるという。


 ここで弟を失った。

 いつか帰ってくると信じて、僕はここで待っている。

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