世界終末日記

#5

　──時は2913年に遡る。

　数年前、世界には『全国統一政府』という、簡単に言うと字面の通り全国の意見を纏める政府が出来た。これには戦時中のどんな国でも参加を義務付けられるという事らしい。

　内部構成などは極秘情報で、概要は殆ど明かされていない。

設立される時に唯一全国に公開された情報は、全国の首相が招集され、社会問題などの取り組みを討論する場所。という事のみ。

　最初は賞賛の声と批判の声が半々位の割合だった。

ある人は、「既存の組織で事足りる」と、ある人は「世界各国の外交関係が良くなるかもしれない。そして、戦争をなくせるかもしれない。」と、皆それぞれ口を開いた。

正に賛否両論と言う言葉が相応しい程に。

　もう1つ情報があるとすれば、全国統一政府の提携研究機関で人間の記憶をロボットにコピーさせる事などが成功したが、近々出来る事だろうと予測されていた事だし、あまり使い道も無いため皆が皆知っているというほど有名にはならなかった。

　この時から全て始まっていた。

　でも誰も止めることなかった。