第96話

 「ツサも一緒に見る?」

「じゃあ、せっかくだし見ようかな」

「ツサ、いつからいたの?」

相変わらず気配が薄い。

自分では完璧に周りを見ていたつもりだったのに、

入ってきたことに全く気付かなかった。

 「そんなことより、これは何の映画?」

「映画じゃなくて、ちぃが依頼された

謎のビデオだよ」

「これ、依頼のやつなんだ、

いつものやつと違って

少し訳あり映像ぐらいにしか感じなかったから

映画を今から見るところなのかと思った」

『ツサの霊感でも、あんまり感じなかったほど

何か憑りついてたとしてもすごい弱いってこと?』

「まぁ、そんな感じ」

弱いとしても、身に覚えがない

ビデオテープがドアの目の前にあると

怖い。

「じゃあ、再生するよ」

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