44 錬金術師の性(さが)だよ
湖で遊ぶの楽しい。
午前中は人の多い水辺で遊んだり、その辺で泳いだりしていた。
出店があったので、お昼を食べる。
「お、肉串だよ肉串」
「お肉です。お肉」
「もう二人とも」
あきれているのはシャロちゃん。私とマリーちゃんにとって、お肉の塊はあまり食べない
「お肉食べたいもん」
「ミレーユさんは肉食獣ですな」
「ミレーユ先生まで肉食女子だったんですね」
えへへ。お肉美味しい。
何のお肉か書いてないけど、美味しいお肉だからいいんだ。
きっと西の森の魔獣とかだよこれ、ちょっと牛肉にしては安かったもん。
「よし食べたし、遊んだし。仕事しよう仕事」
「え、ここまで来て仕事ですか」
「そうだよ、仕事です」
ガーンって顔するマリーちゃん。
「仕事っていっても採取してこようと思ってさ」
「採取ですか」
「そそ、採取。向こうの人が少ない岩場のほうに行こう」
「「はーい」」
三人で荷物を持って岩場に移動する。
リュックサックには、採取道具類もそれなりに入っている。
完全に岩場になる前の砂浜をまずは掘る。
「掘る、掘る、掘る」
スコップとか農具とかで掘っていく。
すると、出るわ出るわ、二枚貝が沢山取れた。
「これは?」
「これはモニスアサリだね」
「へぇ」
モニスアサリちゃん。図鑑でしか見たことないけど、食べられる。
「よしこんなもんだろう、次は岩場探検だ」
「「わーい」」
岩場を見て回る。
草とか水生昆虫とか、あと変な生き物がいろいろいる。
知らない生き物もそれなりにいた。
「これこれ、この水草、探してた。よかったあった」
「なんですかそれ、先生」
「これは、リーリング・モヒテム・バルーム・アルバケロン草」
「はい?」
「通称、アル草」
「なるほど」
名前が長いのは伊達じゃない。
聞いて驚け見て笑え、おどろ木ももの木さんしょの木、な、な、なんと特級ポーションの材料のひとつなのだ。
「すごいでしょ」
「すごい、すごい」
「よかった、あって。綺麗な水がないとないんだよね。水草だから栽培もしてないし」
よかった。この辺を見ると、辺り一面、このアル草が生えている。
これだけあれば、取りつくしたり、気が付いたらなくなっていたり、という心配はあまりなさそうだ。
「乾燥して処理しちゃうから、持てるぶんぐらい、収穫させてもらおう。万が一の時に、必要だし」
「「はいっ」」
三人で収穫する。
この草はすごく長い葉っぱが地面からびよーんて伸びていて、そしてちょっと粘り気のある液体を出しているらしく触るとねばねばする。
ハシユリ村の近くにも、大きくはないけど綺麗な水の川があって、流れの穏やかな深いところなんかにこのアル草は生えていたので、冷たい水を我慢して取りに行ったのを覚えている。
「よしこれで準備できるね」
「よかったですね」
「うん、さすがにユグドラシルの木はあるのに、他の材料が無くて、秘薬が作れないとか、困ったときにもっと困るところだよ」
この湖の水はとても綺麗なのが不思議なくらいだ。
そんなに大きくはないんだけど、水の入れ替わり、それからなんか湖固有の水草の一種が関係しているらしい。
あ、あと、湖で魚を取ったりしている人たちもいる。
それから湖にも水生魔獣みたいなのがいる。
有名なのはベンジャミンアシカかな。魚を食べる魔獣で、人を襲うことはまずない。
あまり狂暴ではないけど、怒らせると牛ぐらい怖い。
今も向こう側の岸辺にみんなで並んでお昼寝している茶色いのが見える。
顔は可愛いから、それなりに人気だけど、ペットにするのには不適格で飼っている人はいないね。
あとは冒険者がたまに捕まえている。毛皮は耐水性があり高値で取引されて、あとお肉もそれなりに食べられているんだって。
ベンジャミンアシカはベンジャミン湖と、周辺の湖のいくつかに生息しているよ。
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