第13話 討伐報酬
『終末竜ラグナドレクを倒した! EXPを66600獲得!』
『LEVEL UP! Lv22→42』
『SKILL UP! 【大物食いⅡ】→【大物食いⅢ】』
『スキル:【竜殺しⅠ】を習得しました!』
『アイテムボックス枠が50拡張されました』
『称号:【終末の覇者】を獲得しました』
経験値獲得などの表示が、次々と目の前に現れる。
ということは。
「討伐完了……でいいのかな?」
黒竜討伐後。
ローナが安全地帯の祭壇裏から、おそるおそる顔を出したところで。
――ぽふんっ! と。
石の祭壇の上に、いきなり宝箱が現れた。
「うわ……な、なんか出てきた」
ローナがびくっと体をのけぞらせる。
「えっと、ご褒美ってこと? でも、誰がなんのために……? というか……どこから、どういう原理で出てきたの、今?」
まったく意味がわからない、唐突な宝箱だった。
(あ、でも……そういえば、インターネットにも『討伐報酬』っていうのが書いてあったな)
そういうわけで、インターネットを改めて確認する。
(えっと、『終末竜ラグナドレク討伐後、ボス戦時の戦闘スタイルに応じた終末竜シリーズの防具がドロップします』かぁ。もうひとつの『アイテムボックス拡張+50』っていうのは、よくわからないけど……)
とりあえず、ご褒美をもらえるなら、もらっておきたい。
ローナが宝箱を開けてみると。
「わぁっ、ローブだ」
漆黒のローブが箱の中に収められていた。
ちょうど、一番欲しいと思っていた防具だ。
「念願の防具が……手に入ったっ!」
今までのローナは防御力が低かったため、ずっと不安だったのだ。
さっきの黒竜の攻撃も、少しでもかすっていたら1発で死んでいただろう。
でも、これからはそういう不安がなくなるのだ。
(やっぱり、攻撃力とかより防御力のほうが大事だよね)
というわけで。
さっそく服の上からローブを着ると、そのままステータスを確認してみた。
――――――――――――――――――――
■ローナ・ハーミット Lv42
[HP:164/164]
[MP:96660/276]
[物攻:44(+360)]
[防御:90(+746)]
[魔攻:173(+3600)]
[精神:173(+1666)]
[速度:88(+300)]
[幸運:90]
◆装備
[武器:世界樹杖ワンド・オブ・ワールド(SSS)]
[防具:終末竜衣ラグナローブ(S)]
[防具:猪突のブーツ(B)]
◆スキル
[インターネット(SSS)]
[
[エンチャント・ウィング(S)]
[猪突猛進(B)]
[魔法の心得Ⅲ(F)]
[大物食いⅢ(D)]
[殺戮の心得Ⅰ(E)]
[竜殺しⅠ(C)]
◆称号
[追放者][世界樹に選ばれし者][厄災の魔女][ヌシを討滅せし者][終末の覇者]
――――――――――――――――――――
「め、めちゃくちゃ強くなってる……」
先ほどのレベルアップの表示はちゃんと見ていなかったが、よく見ると一気に20上がってるし……。
(レベル30もあれば、世界的に見てもけっこうな強者なのにな……)
そしてなにより、防御面の強化具合がハンパない。
精神にいたっては、当たり前のように4ケタある。
「そ、そこまでは求めてなかったんだけどなぁ……」
ものすごい勢いで人間をやめていっている気がする。
それはそうと。
「このローブって、『終末竜衣ラグナローブ』っていうんだね。えっと……」
とりあえず、インターネットで調べてみる。
――――――――――――――――――――
■防具/ローブ/【終末竜衣ラグナローブ】
[ランク]S [種別]ローブ 「売値]-
[効果]防御+666 精神+1666
毒・暗闇・即死・弱化耐性+66%
闇耐性+66% 敵視減少(中)
◇装備スキル:【エンチャント・ウィング】(S)
[効果]対象に【翼状態】を付与する(解除まで継続)
飛行移動(地形効果無視)
◇説明:終末竜ラグナドレクが人間の王だった時代に使っていたローブ。
天さえも我が物にしようという王の強欲さから作られたこの空飛ぶローブは、王とともに地下へと封印されることになる。
装備スキルの【エンチャント・ウィング】を使うことで、さまざまな高難易度コンテンツの開始場所へと行けるようになる。
また戦闘においても、どこでも高台ハメができるようになるというバランスブレイカーっぷりを発揮する。
ただし、翼状態での操作性に難があるうえ、めちゃくちゃ3D酔いするので注意。
――――――――――――――――――――
(うん、まあ……強いことはわかった)
あいかわらず、なにがなんだかわからないけれど。
とりあえず、このローブには【エンチャント・ウィング】という装備スキルがついているらしい。
「物は試しかな――エンチャント・ウィング!」
そう軽い気持ちでスキル名を唱えると。
ローナの背中から、白い光の翼がふわりと広がった。
「おお、なんか天使みた――っ!?」
そう言いかけたところで。
ぎゅぃぃいん――ッ! と、体が浮き上がり。
「おぶっ!?」
そのまま、天井に頭をぶつけて、ふらふらと地面に落下していく。
「つぅぅ~……こ、これは練習が必要そう」
空を飛べるというのは便利だけど、なかなかに扱いが難しいスキルだった。
「それで、もう1つの『アイテムボックス拡張+50』っていうのはなんだろう……?」
討伐報酬には、そんな文字が書かれているけれど。
宝箱をごそごそあさっても、『アイテムボックス拡張+50』っぽいものは出てこない。
「うーん、唱えればいいとか? とりあえず……アイテムボックス!」
適当に唱えてみると、手にしていた杖がばしゅっと消滅した。
それから、目の前にステータス画面を思わせる表示が現れる。
『所持アイテム:1/50』
「えっと……ここに、杖が入ったってこと?」
下の枠の中には、杖のようなマークが描かれている。
試しにその杖のマークに触れると、ぽんっとふたたび杖が手の中に現れた。
「う、うわ、出てきた! え、なんなのこの親切設計……?」
ぽかんとするローナ。
でも、なんとなく使い方はわかった。
とりあえず、手にしているものを異空間に収納するスキルみたいなものなのだろう。
「え、それって……かなりすごくない?」
なんか、おまけみたいな感じで手に入ったけど。
これなら、荷物や素材の持ち運びも簡単だし、世界樹杖ワンド・オブ・ワールドの盗難を心配する必要もなくなる。
なんなら、盗掘も密輸もし放題だ。
「あ、じゃあ……」
と、ローナが目を向けたのは、祭壇の奥に鎮座されていた巨大な魔石だった。
おそらく、これがダンジョンの動力源である“
「たしか、冒険者試験の課題は……この
かなり大きいから、まともに持ち運ぶのは大変そうだけど。
迷宮核に触れながら、「アイテムボックス」と唱えるとアイテムリストの中に『迷宮核(黄昏の地下神殿)×1』が追加された。
これなら、楽に持って帰れるだろう。
「よし、それじゃあ……帰ろう!」
そう、まだ冒険者試験の最中なのだ。
早く帰らないと、時間切れで不合格になるかもしれない。
かといって、帰還用のアイテムを使えば1発で不合格になるという話だし。
(あ、【エンチャント・ウィング】を使えば早く帰れるかも)
思い返せば、このダンジョンにはところどころにショートカットできそうな吹き抜けの空間があった。
『さっそく【エンチャント・ウィング】を使わせよう』という、なんらかの意思を感じないでもないが。
(あと【猪突猛進】も使えば、もっと速く動けるかな?)
そんなことを考えつつ、ローナは光の翼を広げてダンジョンの出口へと向かったのだった――。
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