第18話元伯爵side
まず最初に見たのは己の息子の分だ。
一際分厚く束ねられた物。
それだけ息子の罪を……自分達の罪深さが分かるというものだ。
ページを捲っていく。
紙が重く感じてしまう。
息子の調査書を読んでいくうちにおかしな事に気付いた。ヴィランには友人が一人もいない。いや、友人はいるにはいるが……どちらかというと知人に近いものばかりだ。
更に読んでいくとヴィランと他の貴族の子息達との間には大きな壁があるように感じた。
「それはそうでしょう」
謎を教えてくれたのは部下だった。部下といっても王家の影だ。彼らは私を監視するための「部下」として傍にいる。その事を知った時は笑ってしまった。いっその事、人知れず殺してしまった方が早い。実際、「部下」にも言った。
それに対する返答は――。
「あんたを
生かしたい人?
仕掛け?
何かの
さっぱり理解できなかった。
「一体どういう意味だ? 王家から恩赦に近い形で生かされているが……その事か?」
それ以外の関係者と言えば宰相閣下位だ。
だが、宰相閣下といえど私達家族を擁護はしないだろう。自分の家族に危害を加えようとした者の一人と思われているに違いない。
私の態度に「部下」は嘲笑った。
「あんたは本当に運が良い。俺もあやかりたいもんだよ」
褒めているのか嫌味なのか分からない言葉が返ってきた。「部下」は私の質問に答える気はないという事か。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます