第12話弁護士の奮闘

 

 ヤルコポル伯爵家側の弁護士は頑張りました。

 普通の弁護士なら途中から弁護を辞めるか他の人間に代わって貰う事でしょう。幾ら専属の弁護士とはいえキャリアに傷付くだけでは終わらない案件です。なりふり構わずヤルコポル伯爵夫妻とを守る事に奔走しました。彼らには罪はないのだと熱弁していた、と聞きました。


 後から分かった事ですが、ヤルコポル伯爵家の専属弁護士は先代伯爵に大恩があったそうです。ヤルコポル伯爵家が滅びるなら共にという心境だったのでしょう。ある意味羨ましいですね。


 弁護士の努力の賜物でしょうか?

 ヴィランを“主犯”、他は“犯罪幇助”という事でにしたのです。



「主犯が家族なんです! どうして無視できますか!」


 家族の情による犯行の手助け幇助を仕方なくしていただけ、と言い張ったのです。「幇助」というよりも「教唆」の方が断然説得力があったでしょう。まぁ、ヤルコポル伯爵一家を助けるには「幇助犯」にするしかありません。弁護士としては無罪を訴えたかったでしょう。


 きっと――。


「御三男以外の家族は何も知らなかった。三男の独断で行った事。ヤルコポル伯爵家に責任はありません」


「成人前の未成年が勝手にやった事です。とはいえ、大事に至っていないのも確か。前途ある若者を寄ってたかって『悪者』にするのは如何なものでしょうか?」


「子供は国の宝。若者の更生を期待するのが筋というものです」


「親の責任とは限りません。御三男をお育てしたのはスタンリー家でございます」




 ……と、弁明したかったのでしょう。上手くいくかは別として。これが伯爵クラスや下位貴族が相手ならそれも通用したかもしれませんね。その場合、色々とを動かさないといけないでしょうが「出来なくもない道」です。


 もしくは、法務大臣であるヤルコポル伯爵が訴えを起こされる前に「婿入りに対する法改正」を終了していれば問題にもならなかったでしょう。反対が多過ぎて難しかったかもしれませんがゴリ押しという手段もあります。



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