第4話侍女たちのお喋り
「ねぇねぇ、聞いた? 坊ちゃまが
「坊ちゃまって……何番目の坊ちゃまの事よ?」
「決まってるじゃない、
「あのボンボン坊ちゃまがどうしたのよ」
「それがね、スタンリー公爵令嬢と婚約破棄したらしいわ」
「うそ!? 本当?」
「本当、本当。今、旦那様に叱責されているんだから」
「あんた、また盗み聞きしたの? そのうちクビにされても知らないわよ?」
「そんなヘマしないわよ! それよりもボンボン坊ちゃま有責で破棄されたらしいわよ!」
「はぁ!? あの坊ちゃまが?」
「そう! 意外でしょう!」
「てっきり、相手の御令嬢が坊ちゃまに嫌気がさして白紙にしたんだとばかり思ってたわ」
「ほんとに意外よねぇ。しかも理由が坊ちゃまの『浮気』が原因なのよ」
「……どこのバカ女よ。どっかの貴族の
「それが違うの。間違いなく坊ちゃまの『恋人』らしいのよ! 相手の女は平民。坊ちゃまったら公爵家にその浮気相手を連れ込もうとしたらしいわ!」
「なにそれ?」
「坊ちゃまったら、自分が公爵になると思ってたみたいで『次期当主の自分が愛人を持つのは当然だろう』って言ったらしいの!」
「……まって、確か坊ちゃまは婿(婿養子だと養子縁組を伴う)にいくはずだったわよね? 養子縁組じゃないでしょう?」
「笑っちゃうわよね。婿入りの立場だっていうのに。平民の愛人候補にスタンリー公爵令嬢の事を『自分に惚れ込んでいる。いつまでも鬱陶しく傍にいて縋ってくるから仕方なく本妻する憐れな令嬢なんだ』って言いまくっていたらしいわ。バカよね、旦那様達が先代公爵様に覚え目出度かったから婚約者になれたっていうのに! そうでなきゃ、平々凡々の坊ちゃまなんか選ばれないわよ!
「とんでもない勘違い野郎ね」
「勘違い坊ちゃま、『本妻と愛人の両方に子供を産ませて、出来の良い自分の息子に公爵家の跡目を継がせる』とまで言っちゃったのよね。それで更に問題になったみたい」
「問題になるでしょう。婿入りの家に愛人の子供を跡継ぎにして公爵家を乗っ取る、って宣言したも同然じゃない」
「そうなの! だから婚約破棄だけじゃなくて御家乗っ取り計画の犯罪だって公爵家から訴えられてるのよ」
「そりゃあ、そうでしょうよ。格下の伯爵家の息子が格上の公爵家を乗っ取る計画立ててたんだから……」
「ほら、スタンリー公爵家は将来の娘の旦那のためという事で屋敷に坊ちゃまのために専用の部屋も用意してくれていたじゃない?」
「ああ、幼馴染として、また将来の家族として傍にいれば仲も深まるだろうとか言ってた、あれ?」
「そ、元々、うちの旦那様と奥様が忙しくって三男の面倒まで見ていられなかったからの公爵家の御厚意だっていうのに、自分が跡取りだから当然って顔してたっていうから、余計に公爵家の使用人たちの顰蹙を買っていたらしいわ。だから彼らに対する迷惑行為と精神的苦痛に対する慰謝料も含まれるんじゃないかって話よ!」
「最悪……ここも長くは保たないんじゃない?」
「ね、今から新しい就職先見つけた方がいいわよ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます