YouTuberで行こう
前々回のエッセイにて、今のWeb小説はテレビだと書いておいてなんですが、よく考えてみたら、もうそんな時代はとっくに終わってるかも……なんて思い直しました。
そもそも今は、テレビの時代ではないんですよね。
そして、テレビって毎週やるではないですか。
制作スタッフ何ヶ月も掛けて作り込んだものを毎週放送します。
それらは、小説に置き換えたら編集者がいてちゃんと設定を作りこんで、書くものなのではないかと思ったのです。
でもWeb小説はそうではない。
今のWeb小説上位ランカーの人達は企画とプロットを作り込んで編集者のチェックを経て、毎週ちゃんと設定を考えて書く、テレビ的な作り方ではありません。
上位ランカーにいる人達は、作り込むよりもとにかくたくさん書く事が重要なのです。
編集者もいますが、基本は編集者のチェックを経て書くのではなく、まずはただたくさん書くのです。
たくさん書いて、その中の一つが人気が出たら、編集者が本にしないかと打診する形です。
これ……何か思い当たる物があります。
YouTubeなんですね。
YouTuberの人はとにかく毎日動画を上げます。
それがバズったら、芸能プロダクションの人にプロデュースされた歌を出したり、たまにテレビとかに出てきたりします。
そう、今のWeb小説は、YouTubeなのです。
YouTuberの動画はだいたい一動画10分前後、長くても30分以内くらいにおさめます。
ライバーさんとか、実況になるともう少し長いのが主流だったりしますが、その人たちもショート動画とかリールとか短い物も上げてたりします。
Web小説は一話だいたい2000から3000文字位が主流です。
書き手は一話5分から10分以内で以内で読める物を毎日更新して読む方はそれを毎日読む。
YouTuberさんは一本10分くらいの動画を毎日投稿して、観る方はそれを毎日見る。
同じじゃないですか。
Web小説はYouTubeなんですね。
テレビの様な作り込んだ番組ではなくても良いから、この人のYouTubeチャンネルなら毎日見てても飽きないなーって人がチャンネル登録者数を稼ぐ事もあるし、煽ったりする人が稼ぐ事もあるし。
実況系のWeb小説はまさに実況動画に近い物があるので、わかりやすいですね。
VTuber小説が流行るのも、Web小説とVTuberに近い物があるのを読者さんが感じているのかもしれません。
実際のVTuberさんは小説とは全然違ってたりしても、それは問題ないのです。
現実の乙女ゲームにそんなに悪役令嬢がいないけど、小説にはいそうだけどいないけど理想的な悪役令嬢が出て来るのです。
VTuberも同じで、いそうだけどいないけど理想のVTuberなのです。
そう、Web小説の世界は今、いそうだけどいないけど理想の悪役令嬢とか、いそうだけどいないけど理想のVTuberとか、ありそうだけどないけど理想の異世界に転生する話とかをYouTuber的に毎日面白く語ってくれるおじさんが求められているんです。
なんて書いていますが、実際のYouTuberだって、宇宙系YouTuberさんの中にガチで宇宙の専門家がさらっと混じってたり、素人質問ですが……なんて言いながら専門家が舌を巻くレベルの事を言ってくれる人がいるように、このWeb小説の世界も玉石混合です。
普通にほんとの素人も、素人なのにガチな専門家も、素人だし専門家でもないけど普通に上手い人も、もちろんプロも混じって書いてるのがWeb小説です。
面白いですね。
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