第17話 誤解と魔女
魔女
「ほら、いつまでそうやって這いつくばってるのさ。
早く立ちなよ。大した外傷もないんだし。」
「、、ッハァッ、、ハッ、、、」
た、立つってどうやってだよ・・・!
も、もう体が、動かねぇよ、、
魔女
「はぁ・・・
全く、内が弱いと外も脆いんだから。
仕方がないから多少は治してあげるけどさ。
じゃあそのまま、這いつくばりながら聞いてね。
今の君は、間違いなく弱い。
今の君は、っていうのは今までの君も含めてね。」
「・・・俺のこの力も、弱いって言うのか・・・?」
魔女
「そうだなぁ、いろいろと君には誤解がある気がするんだよ。」
「誤解・・・?」
魔女
「まずそもそも、その力は君のものじゃない。
まぁ、ほぼ君のものって感じなんだけど、言うなれば君が『半永久的』に借り続けているようなものだ。」
「・・・いつか、返す時が来るってことか?」
魔女
「理屈上はね。
とはいえ、そうなるにしてもまだ先の話だから心配しなくていいさ。
それより大事なのは、君がその力を使いこなすに至っていないということだよ。」
「・・・・・・。」
魔女
「そう落ち込むことはないさ。
それは当然のことであり、たとえ誰であってもそうなるからね。」
力を振り絞って、仰向けに崩れた体を表に返す。
「一応聞くが、お前と魔人の長は何かしら関係があるよな・・・?」
魔女
「ふふっ。
何かしら、ね。
そうだね。私たちはお互いを知ってるし、彼が君に何を言ったのか、何に怒ったのか、何を求めているのかも知っているさ。
なにせ、君は私たちの希望だからね。」
「・・・おい。
それはどういうことだ。」
魔女
「気にすることはない。
こちらの話だ。
・・・誤解されないように言っておくが、私たちは君の味方だよ。
これは本当だ。この命に懸けてね。」
「・・・俺の知る魔女は絶対に信用してはいけない奴なんだが、それを証明することはできないのか?」
魔女
「証明する意味はあるかい?」
「・・・今の俺は何も信じる気がないんだよ。」
本当はそうではない。
もうなんだっていい。
魔女
「そういう風には見えないけどね。
まぁ、これが証明になるかはわからないが、私たちが君に味方する訳は、君に味方することが私たちにとってメリットだからだよ。
確かに君の言う通り、私たちはあまり人間が信じるべき存在ではないことは認めよう。
しかしその『信じる』という言葉の意味は、人格的なものだろう?
『君を信じる』みたいな、君たちで言う信頼とか、そういった人間性とかの部分は、私たちに求めてはいけないよ。
魔女と人は異なる存在だからね。
人間性を説いたところでどうもこうもないんだよ。
でも、利害が一致するなら協力するのは万物共通の摂理だろう?」
「・・・そうだな。
まぁ、一応信じてはおくよ。
裏切られたところで失うものはないからな。」
そうだ。
俺にあるのはこの力ぐらいだと思っていたが、それも俺のものでないとするともう、俺は文字通りの一文無しということになる。
リスクがどうこうとかの話にすらならない。
魔女
「・・・そうかそうか。
それは良かった。
ちなみに、今のもある意味の『誤解』だってことは理解できるよね。
君にはそんな、意外と厄介な誤解、勘違いがいろいろと重なっている。
だから彼に怒鳴られて、そんな姿になるんだよ。」
魔女の言うことがすんなりと入ってくる。
彼女の言うことはその通りだと思う。
魔女
「それじゃあ、そろそろ本題に入るとしようか。
君が弱い、その訳の話さ。」
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