第22話(後半)Fulfilling with Ecstasy

 陽一の天使に認められた気がした直人は胸が一杯になった。

「直、どうして上を見てにやけてるの?」

 直人は見上げていた目線を陽一に合わす。

「実は、陽さんの天使が微笑んでくれてるんです」

「あれ? いつも寝てるんじゃなかった?」

「そうです、起きてるの初めてです! 綺麗な金色の目をしていて ・・僕達の事を祝福してくれてるみたいで ・・すごく嬉しい」

「そっか ・・俺達がこうなる事を喜んでくれているなら良かった」

「はい」

「直、このまま進めるのは天使に見られているみたいで恥ずかしい?」

「え? 全然」

 直人は、こちらを向いて座っている陽一の唇にキスをすると彼の胸元に顔を埋める。顔を真っ赤にさせている直人を陽一は優しく抱き寄せると、直人のジーンズのボタンを外しジッパーを下す。

「直、少しだけ腰を上げて」

「え?」

 陽一の胸元に蹲っていた直人は顔を上げると陽一に言われるがままに腰を少し浮かせる。すると、アッという間にジーンズを脱がされてしまう。陽一は、ベッドの掛布団を除けると直人の手を取り共にベッドの中央に横たわった。そして、再び緊張のため固くなっている直人の唇にキスをすると、ゆっくりと直人の上に身体を乗せ彼の耳元から首筋にキスをする。

「んっ」

 陽一は、首筋に沢山のキスを降り注ぎながら、直人の乳首をそっと摘まむ。

「あっ」

 直人は自分でも驚くような声を出すと恥ずかしさから慌てて両手で口を塞ぐ。

「直、気持ちいいなら声を出して。俺はその方が嬉しいよ」

「陽さん・・ アっ」

 陽一が直人の乳首にキスをした後で優しく吸うと、直人は今まで得た事のない快感に再び声を出してしまう。すると、陽一は丁寧に指で左側の乳首を触れながら右側は舌と唇で丁寧に攻める。

「陽さん ・・ンっ、あっ、頭が、顔が熱い」

 直人は自分の口元を覆っていた手の指に嚙みつくと身体の底から声を上げる。

 陽一は直人の乳首をいじりながら、右手で彼の股間に手を添える。

「もう、硬くなってる。気持ち良いんだね。よかった」

 そう告げると下着の中に手をいれ直人の性器を温かい手で包み込んだ。

「んっ、はぁ、陽さん ・・そんなとこ触ったら汚いです」

 首を持ち上げ陽一に話掛ける直人の唇を奪う。

「直のだったら汚い所なんてないよ」

 そう告げた陽一の手が上下に動くと直人の下着が濡れ始める。

「あっ、ダメ。陽さん! そんな事したら・・僕、んっ、はぁ」

「直のイク顔見せて」

「んっ だめ ・・あっア ・・いや、だめ、一人じゃ嫌です!」

 直人は言葉を放つと自分の性器を弄る陽一の手を止める。

「え?」

「僕も陽さんの触りたい ・・お願い」

 直人はおぼつかない手で陽一のパンツのベルトとボタンを外すとジッパーを下げ足でパンツ剥がそうとする。陽一は直人への愛撫を一旦中止すると隣に横たわりパンツのポケットから小さな包みを取り出してから自分のパンツも脱いだ。すると直人が陽一の性器を手で探る。

「嬉しい ・・陽さんも硬くなってる」

「こんなに可愛い直を目の前にしてるんだよ ・・当然」

「陽さんの咥えたい」

 そう告げた直人は陽一の上に乗ると陽一の股座へと身体を下げていく。

「直! 今日は最初だし ・・そんな事しなくてもいいよ」

「陽さん ・・お願い ・・僕、我慢できない」

 直人は陽一の下着を下ると彼の硬くなっているペニスを口で咥えた。

「あっ ・・直。積極的過ぎるよ ・・参ったな ・・ンっ、ん」

 ぎこちない直人の口と舌の動きに彼からの漏れ出す愛情を肌で感じると、陽一は心が満たされていく。

「直、もういいよ」

 そう告げた陽一は直人の両脇を抱えると自身の肩の方へ直人の顔を引き寄せる。

「陽さん、僕下手でごめんなさい。こんなんじゃイケないですよね」

「直、俺も一人ではイキたくないよ」

「陽さん ・・あっ!」

 陽一が直人のアナルを触り始める。

「ここ柔らかくしないと俺のん入らないよね? ジェルとかある?」

「はい ・・でも僕もう処理してあります」

「え? どういう事?」

「風呂場でそこを綺麗にするのが習慣になってしまって・・ 自分の指でも・・その汚いのは嫌だから」

「あ ・・自慰って」

「そうです。僕、女になった気になって陽さんに抱かれるのを想像して・・馬鹿ですよね ・・変態なんです」

「ここまで俺を好きになってくれたのは直だけだよ ・・だから嬉しい。でも、今度はやり方を教えてね。直だけに準備とかで負担掛けるの嫌だから」

「あ ・・はい」

「直が事前にほぐしてくれたけど、もう少し柔らかくしたいからジェルどこ?」

 直人が手を伸ばすと枕元にある引き出しからジェルのボトルを取り出すが、陽一に渡そうとしない。

「陽さん ・・僕がします」

「それじゃダメだよ。どうして? 俺、初めてだけど痛くしないから」

「そうじゃなくて ・・き、汚いし」

「直、もう洗ってくれたんだよね? それにさっきも言ったけど直の身体ならどこも汚くないから、直だってさっき僕の咥えてくれたよね」

「陽さんのならどこも綺麗だから!」

「直の身体も綺麗だよ」

 陽一は、直人の手からジェルを優しく奪い取ると自身の指に付け直人のアナルに気遣いながら、ゆっくりと中指を挿入した。

「あ ・・陽さん ・・」

 上に被さっていた直人を陽一の隣に寝かせると指を上下左右に動かす。

「ンっああ、あっ、陽・・さん、はぁ」

「前立腺のツボがあるって聞いたことがある。直の場合・・ここかな?」

「あっン、あああ」

「気持ちいい?」

「ンっあ」

 言葉に出来ない直人はコクリと首を上下に動かした。

「陽さん、あっ、あっ ダメ ・・ダメ ・・それ以上したら ああっ 陽さんのが欲しい ・・陽 ・・さんと、ンっあ アっ 1つになりたい ・・お願い」

 直人は喘ぎながら陽一を強く掴むと懇願の目を向ける。陽一は指をどんどんと増やしていくと3本を直人のアナルに挿れたところで抜いた。そして先程ポケットから取り出したコンドームを手早く取り付ける。直人のペニスからは蜜が溢れ出し今にも噴火しそうなほどにピクピクと動いている。

「直、大好きだよ」

 陽一は再び直人の上になると耳元で囁きながら、徐々に自分の性器を直人の中に挿れていく。

「直、大丈夫? 痛くない?」

「・・・・」

 身体を強張らせ唇を噛み締める直人の表情が陽一の瞳に映る。

「息をして ・・声を出して ・・もう少しで全部入るよ ・・俺達1つになれるよ」

「陽・・さん、はぁはぁ アっ はぁ」

 直人は身体を循環する全血液が沸騰したかのように火照りだすと目に涙が溜まり出す。

「痛い?」

「大丈夫 ・・僕、嬉しくて」

 そう応える直人に激しいキスをすると、陽一はペニスの根本まで直人の中に埋めた。

「これで1つになれたね ・・少しずつ動かすから、痛かったら絶対に無理しない、分かった?」

「は・・い。アっあ、はぁはぁ ンっあッ 陽さん・・大好き」

「俺も大好きだよ ・・直。はぁはぁ」

 陽一は直人の腰を少し浮かせると、動きを少しずつ早めていく。

 直人の部屋中に二人の息遣いと甘い吐息が木霊する。

「陽さん ・・アっあ、ン、何か変 ・・気持ちいいのに ・・怖い ・・あっアッんっン、はぁ、アああ、陽さん ・・怖い」

「直、俺を見て」

「陽さん、あっ ・・変 ・・僕 ・・変」

「大丈夫 ・・大丈夫だよ ・・息をして」

「あ、頭が ・・はァ ハぁ はァ ダメ ・・頭が爆発しそう ・・」

「大丈夫 ・・イッていいよ」

 陽一は再び直人に激しいキスをする。

「あ、アアア 陽さん、僕 ・・あ、イク・・イク・・あああ」

 直人は頭が真っ白になると性器から勢いよく精液を噴射し、陽一に思い切り抱き着いた。

「はぁはぁはあ ・・陽さん ・・陽さん」

「うん、直。ちゃんとイケたね」

「はぁはぁ、はい はぁはぁ はい ・・陽さん、大好き」

 陽一は、自分に抱き着いている直人の頭を愛おし気に撫でる。

「ごめんなさい ・・僕先にイッてしまって ・・ごめんなさい」

「そんな事で謝らない ・・直が気持ちいいの俺は嬉しいから」

 力が籠められていた直人の腕が少し緩むと荒かった息も徐々に落ち着いてくる。陽一は何度も直人と唇を重ねた。

「陽さん、僕のではイケないですか?」

「え? まさか、もう少しだったよ。でも気にしなくていいから」

「ダメです」

 直人はそう言うと陽一を仰向けに寝かせ自身が上から覆いかぶさった。すると再び元気になっている直人の性器が陽一のお腹に触れる。

「直? 身体大丈夫?」

「はい」

 直人は陽一の上に馬乗りになると彼のペニスを自分の中に挿れていく。

「はぁはぁ、アッ、んッ、陽さんの全部食べちゃった」

 甘美な表情で色ぽく微笑む直人に、陽一の身体から湧き上がる高揚がピークに達すると腰を上下に動かし始めた。前回と違い少し激しく直人を攻める。

「あっん ・・はぁああぁ ・アっ 陽さん」

 陽一は、自分の上半身を起こすと直人の尻を持ち自身にグッと引き寄せる。

「あ、ああ」

 直人も徐々に自分の腰を動かすと二人共にベッドの上で激しく揺れる。

「はぁはぁ、直 ・・ン ・直の中、すごく気持ちいいよ」

「陽さん ・・僕も ・・気持ちいい ・・あっんンン」

 陽一は再び直人を仰向けに寝かせると更に激しく直人を突き上げる。

「陽さん ・・奥にあったる。あっ、アっ」

「奥はダメ? 痛い?」

「ううん、気持ちいい ・・でも、あっ、ダメ・・激しい ・・あッアっあ ダメ ・・またイッちゃう ・・陽さん」

「直 ・・俺も、もうすぐ、イキそう」

「陽さん ・・あっ ・・嬉しい ・・一緒に ・・お願い」

「ああ、はぁはぁはぁ 直、イク もうイク」

「僕も ああああ、陽さん」

 直人は射精と同時に陽一にしがみ付いた。そして陽一も自身の精液で直人の中にあるコンドームを一杯にすると直人の胸に項垂れた。

「はぁはぁはぁ」

 暫く二人の吐く息だけが空気を埋める。

 先程まで強く掴んでいた直人の腕が突然力を失うとゆっくりとベッドの上に降りる。

 初体験で2度の快楽を味わった直人は、陽一が自分と共に果ててくれた喜びを胸に抱きながら意識を飛ばしてしまう。

 ベッドの上で寝息を立て始めた直人の額にキスをすると陽一も暫く横になった。

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